株の利益で住民税も増加?知っておきたい税金対策
株式投資で得た利益には税金がかかります。税率の高い「所得税」が注目される一方で、実は「住民税」も上がることがあるのです。
本記事では、株式投資の売却益や配当金によって住民税にどう影響を与えるかに加えて、住民税の基本的な仕組みや計算方法、注意点について解説します。住民税が上がる理由を理解し、正しく節税しましょう。
株の利益で住民税が上がる理由とは?
住民税とは?
住民税は、納税者が居住する市区町村や都道府県に納める税金です。住民税の金額は、1月1日〜12月31日の1年間の所得に基づいて計算されます。この所得には、給与所得や事業所得、不動産所得のほかに、株式投資で得た利益も含まれます。
また、住民税の税額は市区町村や都道府県などの各自治体が所得に応じて計算するため、申告が原則不要であることも覚えておきましょう。
株式投資による利益の課税対象
株式投資による利益は、株の売却益と配当金の2種類に大別できます。いずれも所得税と住民税の対象となり、利益により税金が発生します。
平成29年度の税制改正により、令和4年分までの上場株式の売却益(譲渡所得)と配当金の利益(配当所得)については、所得税と異なる課税方式を選択できるというものです。例えば、所得税で「総合課税」や「申告分離課税」を選択した場合でも、住民税は「申告不要制度」を選択でき。しかし、令和5年分の所得税の確定申告より、金融所得課税の公平性の観点から課税方式を所得税と一致させる改正がなされました。
上場株式等の譲渡所得と配当所得の課税方式については、以下の表を参考にしてみてください。
【上場株式等の譲渡所得等・配当所得等の課税方式早見表(住民税)】
課税方式 | 上場株式等の配当所得等 | 上場株式等の譲渡所得等 |
申告不要 | ・配当金の所得が総所得金額や合計所得金額に合算されない。 ・配当所得等が国民健康保険税などの算定に加算されない。 | ・株式の売却益等による譲渡所得等が総所得金額等や合計所得金額に合算されない。 ・株式の売却益等による譲渡所得等が国民健康保険税などの算定に合算されない。 ・上場株式の売却益等にかかる譲渡損失と損益通算および繰越控除の適用が受けられない。 |
総合課税 | ・配当金の所得が総所得金額や合計所得金額に合算される。 ・配当所得等が国民健康保険税などの算定に合算される。 ・配当控除の適用が受けられる。 | 選択不可 |
申告分離課税 | ・配当金の所得が総所得金額や合計所得金額に合算される。 ・配当所得等が国民健康保険税などの算定に合算される。 ・上場株式の売却益等にかかる譲渡損失と損益通算および繰越控除ができる。 ・配当控除の適用が受けられない。 | ・株式の売却益等による譲渡所得等が総所得金額等や合計所得金額に合算される。 ・株式の売却益等による譲渡所得等が国民健康保険税などの算定に加合算される。 ・上場株式の売却益等にかかる譲渡損失と損益通算および繰越控除の適用ができる。 |
【参考】https://www.city.fujimi.saitama.jp/kurashi_tetsuzuki/07zeikin/kojin/kabunojoutohaitou.html
住民税の計算方法
住民税の基本的な計算式
また、各自治体で住民税の金額が異なることもあるため、住民税が減税される制度などの情報も含めて各自治体のWEBサイトで確認してみてください。
株式投資の利益が住民税に与える影響
したがって、課税方式の理解やNISAなどの金融商品を活用した節税対策を行うことがとても重要なのです。
申告分離課税と住民税の関係
申告分離課税とは?
株式投資の利益は「申告分離課税」として申告するのが一般的です。申告分離課税とは給与所得や事業所得とは別に分けて税額計算を行う課税方式です。株式投資による売却益も配当金による利益にも一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%) が課税されます。
総合課税との違い
配当金については、「総合課税」として申告することも可能です。総合課税では、給与所得や事業所得などの所得と合算して計算します。総合課税を選択するメリットは、「配当控除」が利用できる点です。
計算式
配当所得控除額 = 配当所得 × 配当控除率
配当控除率は、配当所得以外の課税所得金額により計算方法が異なります。
配当所得の金額 × 2.8%
配当所得の金額 × 1.4%
投資信託にかかる配当控除の控除率が変わる点にも注意が必要です。
非株式割合 | ||||
50%以下 | 50%超75%以下 | 75%超 | ||
外貨建 資産割合 | 50%以下 | 1.4%(0.7%) | 0.7%(0.35%) | 適用なし |
50%超 75%以下 | 0.7%(0.35%) | 0.7%(0.35%) | 適用なし | |
75%超 | 適用なし | 適用なし | 適用なし | |
住民税が上がるのを防ぐ方法
源泉徴収ありの特定口座を利用する
株式投資を始める際に、「源泉徴収ありの特定口座」を選択すると、税金の計算を自動化できます。これは「申告不要制度」に該当し、住民税は利益に対して5%が自動で差し引かれて口座に入金されます。
確定申告による申告漏れを防ぐ
「源泉徴収ありの特定口座」の選択は、確定申告の必要がないため、申告漏れを防ぐ対策につながります。所得税の申告同様に、住民税も申告漏れが発生した場合には、加算税や延滞税の対象になり、ペナルティが課せられます。追徴課税のリスクを抑えるためにも申告漏れ防止対策を行いましょう。
住民税の負担を軽減するための節税対策
NISA(少額投資非課税制度)の活用
NISAを活用することで、株式投資にかかる住民税(5%)が非課税になります。住民税だけではなく所得税及び復興特別所得税「15.315%」も非課税になるため、投資に充てられる金額が増加します。
損益通算を活用する
「損益通算」は、複数の特定口座を利用している場合は、それぞれの銀行口座や証券口座ごとに特定口座内で損益通算できます。仮に、大きな損失を出した場合にも利益と相殺することができるため、課税所得を減少させ住民税の負担を軽減できます。
損益通算は確定申告が必須になりますが、売却益より売却損が大きい場合には、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができます。
結論
株の利益で住民税が上がる仕組みを理解し、適切な対応を
株式投資で得た利益に対しての住民税についての理解は深められたでしょうか。
株式投資で得た利益にも住民税はかかりますが、住民税の基本的な仕組みや課税方式を理解することで、住民税の負担を軽減できます。さらに、特定口座やNISAを活用すれば、株式投資にかかる住民税が非課税になり、面倒な確定申告も不要になります。本記事を参考に住民税を軽減し、効率的な資産運用を目指しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 株の売却益が住民税にどのように影響しますか?
A1: 原則、株式等の売却益は「申告分離課税」の対象となります。申告分離課税の場合の住民税は一律5%で計算されるため、売却益が増えると住民税額も増加します。
Q2: 配当金は住民税の対象になりますか?
A2: 配当金も住民税の課税であり、売却益と同様に「一律5%」です。ただし、配当金は総合課税として申告する場合、他の所得と合算して課税され「税率は10%」です。
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
