金融政策の転換点がもたらす”チャンス”の考察
米国の金融政策は「利上げから利下げへ」正念場!
2024年、米FRBの金融政策の方向性が、金融市場にとって最大の焦点となっています。金利動向は株価を左右する重要な要素であり、政策金利を決定するFOMCは、投資家にとって特に重要な意味を持つイベントとなることでしょう。
2023年初頭、市場では「FRBは2023年春にも利下げに転じる可能性がある」(=債券金利は下落・債券価格は上昇する)との観測が広まりました。このような背景から、債券金利の下落メリットを狙った債券ETF「TMF」への資金流入が活発化しました。この動向は、出来高の増加にも表れており、投資家が債券金利の下落を見込んでいることを示唆しています。

しかし、2023年春に市場で広がっていた「利下げ予想」は、インフレの長期化や予想以上に強い経済指標の発表を受け、結果的に外れたと言えます。
一方、株式市場ではテックジャイアント、特に「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる銘柄群が想定以上のパフォーマンスを記録しました。これらの企業は米国株式市場で高い寄与度を持つため、他の株式とパフォーマンスの二極化が顕著になっています。
2024年の米国株式市場においては
インフレの長期化
雇用者数・失業率
GDP
長短金利の逆転現象(逆イールド)の未解消
23年3月の米地銀破綻の救済措置の余波(BTFP)
などを総合的に考え、米国の長期金利が今後どこまで低下するかが重要な論点になるでしょう。

2024年には複数回の利下げが行われると予想されている
金融政策の基本原則として、景気が堅調な時には利上げが、景気が減速する局面では利下げが行われるのが一般的です。 そのため、FRBが政策金利を引き下げる背景となる米国経済の鈍化に対し、株式市場がどの程度の抵抗力を示すかは重要なポイントとなります。この市場環境の変化の中に、新たな“チャンス”が潜んでいる可能性を見過ごすことはできません。
政策金利の方向性が変わる際、銘柄ごとに金利変動への感応度は異なります。例えば、金融セクターは一般的に金利の感応度が高いとされています。そのため、資産形成を考える上で、金利変動を考慮したポートフォリオの構築は、一つの有効な投資戦略となり得ます。

テックジャイアントの上昇余地は?
2023年夏以降のテックジャイアントの上昇が、今後の株価上昇余地にどのように影響するかを考える必要があります。「株価は将来のEPSを反映する」と仮定すれば、生成AIという未知数の需要を見込み、EPSの上昇が織り込まれている可能性もあります。 現在の株価が正当化されているかどうかを見極めることが重要です。
生成AIや半導体関連をはじめとするテックジャイアントは、息の長い成長テーマである一方で、これらだけに過度に集中しすぎるリスクも無視できません。そのため、他のセクターやテーマへの投資妙味に関しても一考する価値はあるのではないでしょうか。
24年狙い目のセクターとテーマを考えてみる

一般的に、景気循環や金利の動向に応じて、各局面で良好なパフォーマンスを示しやすいセクターの関係は、上の図のようになるとされています。
「セクターローテーション」とは、景況感の変動にともなって、投資対象として物色するセクターを機動的に変えていく投資戦略のことを言います。現在の市場環境を踏まえると、生活必需品、公益事業、ヘルスケア、通信サービスといったセクターには、今後投資妙味があると考えられそうです。
2024年特有のビッグテーマといえば米国大統領選
1月時点ではトランプ氏の党員集会での勝利をメディアが報じています。
https://www.moomoo.com/ja/community/feed/111724914081798?share_code=00FJ4B
moomooニュースで取り上げられたトランプ氏当選銘柄の通信勝者の3社の比較
米国の3大ワイヤレスネットワーク企業が通信業界の勝者として挙げられています(moomooニュースより)。3社とは、AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズ、TモバイルUSのことです。それぞれの企業概要を確認したうえで、アプリを活用して銘柄の比較を行ってみましょう。

現時点で、株価が最も安いAT&Tを軸に考えます。 足元では、TモバイルUSのチャートが他と比較して好パフォーマンスを示しています。AT&Tとベライゾンは6%超の高配当銘柄ですが、TモバイルUSは2023年11月30日に初めて配当金(1株あたり0.65ドル)を支払いました。 同社は最近になって株主還元を行える財務体質へと移行したと考えられます。すでに安定した株主還元を継続してきたAT&Tやベライゾンと比べると、TモバイルUSは異なる性質を持つ企業と捉えることができます。

銘柄比較で分析を深める
「銘柄比較」を活用すると、株価指標の比較だけでなく、アナリスト評価や機関投資家の保有比率なども簡単に確認できます。 機関投資家の保有比率が高い銘柄と低い銘柄では、値動きの特徴が異なることもあるため、その違いを把握することも個人投資家としては重要ポイントになります。
表示手順:個別銘柄画面> 分析> 概況
「企業評価」までスクロールし、詳細をタップ。「銘柄比較」のページから比較したい銘柄を登録することで、分析が効率化されます。
例えば、浮動株が少ない銘柄は出来高が増加すると株価が大きく変動する可能性があります。他と比較してまだ市場参加者が少ない銘柄は、今後の注目度次第で投資チャンスとなるかもしれません。
このような銘柄には、債券市場や機関投資家が多く参入する銘柄から資金が流入する可能性があるため、監視対象としてチェックする価値があります。

今回は通信サービスセクター×トランプ当選銘柄という組み合わせから独自に選んだ通信3社を参考までに比較しました。
2024年の米国株式戦略(例)
セクターローテーション
米国大統領選というテーマ
資金の振り分け可能性がある
といった観点から個別銘柄を選定していく等
米国大統領選で誰が当選するのかは現段階でまだ不確定です。日々のニュースにもアンテナを立てつつ、ご自身のシナリオを構築したうえでの投資決定を行うようにしましょう。
投資判断の効率を考えるとセクターETFへの投資をしたほうがよいと考える人もいるでしょう。通信サービスセクターのETFであるVOXも合わせて確認しておきましょう。

本記事で取り上げた通信3社のほかにも、マグニフィセントセブンから2社組み入れ比率が高めに採用されていることがわかります。
株式の「買い」はいつなのか?
「買い」のタイミングを判断する際は、単に目に見える数字だけでなく、株価下落の原因が企業独自のものなのか、それとも外部要因によるものなのかを見極めることが重要です。
企業側の要因で市場のコンセンサスが下方修正された場合(決算発表など)、株価は下落する可能性が高くなります。 一方で、外部要因による下落であれば、むしろ「買いのチャンス」と捉えられるケースもあります。
特に、長期的な成長が期待される企業や、市場が悪材料を織り込んだ後に株価が下落している場合、それが「買い時」の良いサインとなることがあります。

新NISAは非課税期間が無期限
新NISAの非課税期間が無期限であることを踏まえると、長期的な視点で「待つ投資」が可能になります。
個人投資家にとっては、金融政策の変更や金利動向、経済全体の状況を注視しながら、各銘柄の強みと成長ポテンシャルを見極めることが重要です。 これらの要因を総合的に考慮しつつ、ポートフォリオの分散とリスク管理を意識することが求められます。
「悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」といわれる強気相場においては、こうした視点が忘れられがちであるのかもしれません。
(2024年1月17日執筆)
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
