米国版メジャーSQ、「トリプル・ウィッチング・デー(3人の魔女の日)」とは?
日本では、日経225miniおよび日経225オプションにおいて、毎月第2金曜日がSQ(特別清算指数)と呼ばれる決済日と定められています。一方、日経225先物のSQは3月・6月・9月・12月の第2金曜日に限定されており、これら四半期ごとのSQは「メジャーSQ」と呼ばれています。
メジャーSQの週は「相場が荒れやすい」とよく言われます。背景には、先物やオプションを取引している投資家が、SQに向けてポジション整理を迫られるという事情があります。そのため、SQを控える時期には市場のちょっとしたニュースや株価の動きに反応し、ポジションを一斉に解消する動きが出ることも少なくありません。結果として、株価の変動が通常よりも大きくなる傾向があるとされています。
では、米国にも日本のメジャーSQ日に相当するような決済日があるのでしょうか?
それが「トリプル・ウィッチング・デー(3人の魔女の日)」と呼ばれる日です。
トリプル・ウィッチング・デー(Triple Witching Day)とは?
米国の金融市場で使われている用語で株価指数先物、株価指数オプション、個別株オプションの3つのデリバティブ取引の満期(決済日)が重なる日を指します。
トリプル・ウィッチング・デーは年に4回、3月・6月・9月・12月の第3金曜日に訪れます。この日は、多くのポジションが一斉に清算されるため、市場のボラティリティ(価格変動)が一時的に高まる傾向があります。用語名には、3人の”魔女”がマーケットをかき乱すという意味が含まれています。
近年では取引のデジタル化が進み、投資家はこのイベントの直前に限らず段階的にポジション調整を行えるようになったため、ボラティリティ(価格変動)の一部は抑制されつつあります。それでもなお、トリプル・ウィッチング・デーの市場動向を理解しておくことは投資判断において有益です。
トリプル・ウィッチング・デーの日程
2025年
3月21日(金)
6月20日(金)
9月19日(金)
12月19日(金)
2026年
3月20日(金)
6月19日(金)
9月18日(金)
12月18日(金)
2027年
3月19日(金)
6月18日(金)
9月17日(金)
12月17日(金)
トリプル・ウィッチング・デーに起きること
トリプル・ウィッチング・デーを迎えるにあたり、たとえば個別株のオプションを保有している投資家は、「権利を行使するか」「手仕舞いしてポジションを閉じるか」、あるいは「ポジションを次の限月に乗り換えて継続する(ロールオーバー)」かの判断を迫られます。ロールオーバーは、現在のポジションを決済したうえで、同様の取引を新しい期限のオプションで組み直す戦略継続のための手段です。
また、S&P500やナスダック指数などに連動する先物契約も満期を迎えるため、同様の対応が必要となります。
これら複数のデリバティブ(個別株オプション、株価指数オプション、株価指数先物)が同時に満期を迎えることによって、市場ではヘッジやリバランスを行う動きが急増し、取引量の増加や価格変動(ボラティリティ)の拡大が起きやすくなります。特に終値にかけて注文が集中する傾向があり、相場に一時的な歪みが生じる可能性があるため、注意が必要です。
直近5回の”三魔日”を振り返ると、株価の終値変化は大きくはないものの(明確な方向性もない)、通常と比べて出来高が大幅に増加していたと確認できます。

潜在的なメリットとリスク
【メリット】
取引量と流動性の増加
満期に向けたポジション整理が集中することで、市場全体の取引が活性化します。
短期売買のチャンス
ボラティリティ(価格変動)の高まりを活用して、短期的な値動きから利益を狙う機会が生まれます。
ポートフォリオ調整やヘッジ戦略の実行が容易に
満期に合わせたポートフォリオ調整やヘッジ戦略を実行しやすくなります。
市場の効率性が向上
需給や投資家心理が価格に反映されることで、価格形成の透明性が高まります。
【リスク】
過度なボラティリティによる価格の急変
大量の注文が一時的に相場を歪め、急騰・急落を引き起こす可能性があります。
ストップロス注文のドミノ的発動
想定外の値動きによって損切り注文が一斉に発動され、市場の乱高下を助長するおそれがあります。
市場インフラへの負荷増大
注文の集中により、証券取引所やブローカープラットフォームが一時的に処理能力の限界に達することがあります。
執行エラーや急激な市場変動による投資判断の難化
アルゴリズム取引が増加する中、誤発注や遅延がリスクを高める要因となります。
トリプル・ウィッチング・デーにおける代表的な取引戦略
■ボラティリティ活用戦略(オプション戦略)
トリプル・ウィッチング・デーではボラティリティが大きくなる傾向があるため、オプションを活用した戦略が有効です。例えば、ロング・ストラドル戦略(同じ銘柄・同じ行使価格・同じ満期日のコールとプットを同時に買う)は、価格の方向にかかわらず変動幅が収益につながるため、方向性の見極めが難しい局面に適しています。ただし、IV(インプライド・ボラティリティ)の上昇でオプションのプレミアムが高くなりやすいため、損益分岐点の把握とプレミアムの妥当性評価が重要です。
Tips:ロング・ストラドル戦略とは?
同じ銘柄・同じ行使価格・同じ満期日のコールとプットを同時に買うという戦略です。
株価が上がれば、コールオプションが利益を生む。
株価が下がれば、プットオプションが利益を生む。
株価が大きく上昇、または大きく下落した場合、片方の利益が、もう片方のコスト(支払ったプレミアム)を上回れば──戦略全体として利益が出るという仕組みです。
コール・プットの買い方や戦略の仕組みについて、こちらのリンクをご参照ください。
参考:コール買い戦略の活用例
■ヘッジ戦略
既存の株式ポートフォリオに対して、オプションを利用して下落リスクを和らげる戦略です。特に、イベント直前の不確実性が高まる局面では、プットの買いによるヘッジ手法がよく用いられます。また、相場の一時的な下落に備えて信用取引による売建を行うのも一つの手段です。
■テクニカル分析
ボラティリティの高まりや出来高の増加は、テクニカル指標に明確なシグナルをもたらすことがあります。移動平均線のクロス、RSIやMACDのダイバージェンスなどを通じて、トレンドの転換や過熱感を捉える手法が有効です。ただし、アルゴリズム取引が主導する場面ではノイズが増える傾向があるため、テクニカル指標に対する過信は禁物です。
■イベント・ドリブン戦略
指数の構成銘柄の変更やリバランスが発表されると、関連銘柄に需給の偏りが生じることがあります。こうしたイベントはトリプル・ウィッチング・デーを含め事前にスケジュール化されていることが多いため、それを先回りしてポジションを構築する戦略が有効となります。情報の出回りや市場の消化が早い可能性を加味し、過剰な期待が先に織り込まれてしまうリスクも意識しましょう。
■セクターローテーション
トリプル・ウィッチング・デーに向けて、指数連動型のポートフォリオにリバランスがかかることで、一部のセクターに資金が流入・流出する傾向があります。こうした傾向を読み解き、強含みやすいセクターに先回りして乗る戦略も短期的な利益機会を生み出します。なお、短期資金の影響による一過性の値動きである可能性も高いため、タイミングには注意が必要です。
■裁定取引(アービトラージ)
先物価格と現物価格の間に発生する価格差を活用する戦略で、大量の注文が集中しやすいトリプル・ウィッチング・デーではその乖離が一時的に拡大する場合があります。機関投資家に多く実行される戦略ですが、取引コストやスプレッドを上回る裁定機会の有無を見極めることが求められます。
これらの戦略には、十分なリサーチ、リスク管理、柔軟な対応力が求められます。相場の急変時にも冷静に対応できるよう、事前準備が大事です。
信用取引でボラティリティをチャンスに
相場の変動が大きくなるトリプル・ウィッチング・デーは、短期売買を狙う投資家にとって良い取引のタイミングになりえます。こうした局面では、機動的に動ける信用取引も選択肢として有効です。moomoo証券では、同日中の取引(デイトレード)であれば、米国株信用取引の金利・貸株料が無料!
現物取引では差金決済が禁止されている一方で、信用取引なら同じ資金で繰り返し一日に何度でも売買が可能。短期売買やポジション調整にもスムーズに対応できます。

トリプル・ウィッチング・デーは、価格変動の要因が多く絡み合う特殊な相場環境です。短期的な取引チャンスが増える一方で、想定外の動きが発生するリスクも伴います。取引戦略を立てる際には、冷静な分析と柔軟な対応力、そしてリスク管理が欠かせません。事前の準備と相場の構造理解が、こうしたイベント日を乗り切るカギとなります。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
