株価に影響を与える大統領選アノマリーを解説

05/19 17:03

米国の大統領選挙は4年に一度行われ、その年や前後には特有の株価動向が見られることが多くのデータから示されています。大統領選アノマリーとは、米国の大統領選挙が株式市場に与える影響を指し、投資家にとって重要な事項です。ドナルド・トランプ氏が大統領在任中および選挙期間中に株式市場で見られた特定の動向やトレード戦略は「トランプトレード」と呼ばれています。トランプ氏の政策や発言はこれまでも市場に大きな影響を与えてきました。

大統領選アノマリー

「アノマリー」とは、合理的な理由が不明であるにもかかわらず、一定の経験則がみられる現象のことをいいます。米国大統領選挙は4年サイクルで行われ、この周期に伴った株価の変動がアノマリーとして知られています。「大統領選アノマリー」は一般的に、大統領選の年とその前後の年に市場にみられる特定の傾向を指します。

  • 大統領選の前年:株価が上昇しやすい。政府や企業が経済刺激策を講じることで、市場にプラスの影響を与えることが多い。

  • 大統領選の年:上昇傾向が続くが、前年ほどではない。選挙結果が予測できないため、不確実性が増し、投資家は慎重になることが多い。

  • 投開票月(11月)以降:株価が上向きやすく、年末にかけて高くなる。選挙結果が確定し、政策の方向性が明らかになることで、市場は安心感を取り戻す。

  • 大統領の任期中:3年目の平均リターンは約13~15%で良い傾向。この時期から、大統領は再選を目指して経済政策に注力するため、株価が上昇しやすいと考えられる。

2016年(トランプ氏初当選)のS&P500指数は、ボラティリティを伴いながらも上昇し、選挙後も継続的に伸びたことが分かります。

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政治的景気循環と株価

米国の民主党と共和党の経済政策は、それぞれ異なるアプローチで景気に影響を与え、その結果として政治的景気循環が形成される傾向にあります。すなわち、民主党は景気刺激策と規制強化を重視し共和党は減税と規制緩和を重視することで(ビジネスフレンドリー)、それぞれの政権期に応じた景気循環が生じるとされています。

政党別の年次パフォーマンスにも一定の傾向が見られます。*

  • 共和党大統領:平均年次リターン約7%。ビジネスフレンドリーな政策が市場に好意的に受け取られ、特にエネルギー、金融、製造業などが恩恵を受けることが多い。

  • 民主党大統領:平均年次リターン約13%。社会福祉や環境保護に重きを置いた政策が取られ、テクノロジーやヘルスケアセクターが成長することが多い。

どちらの政党が当選しようとも大統領選の年には、株価は上昇する傾向にあります。例えば、クリントン前大統領以降の大統領選の年の平均リターンは約9~10%とされています。

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2016年9月にトランプ氏の当選が確定してから、その後就任期間を含めたS&P500指数は約84%上昇しました。トランプ氏の政策は減税や規制緩和を中心としたものであり、これが市場にプラスの影響を与えました。ただし、トランプ氏の発言やツイートも市場に大きな影響を与え、一時的なボラティリティを引き起こすこともありました。

すでに足元の発言や氏を取り巻く動向が市場にもたらす影響度は高まっており、例えば、17日に「台湾は米国から半導体ビジネスを奪った」「台湾は防衛費を支払うべき」とブルームバーグのインタビューで発言したことが報じられると、$タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$の株価はプレマーケットで約2%下落しました。また、14日の銃撃事件の30分後に、$テスラ (TSLA.US)$のCEOであるイーロンマスク氏がX(旧twitter)でトランプ氏の「全面支持」を表明し、その後トランプ氏の選挙戦を支援する政治団体に毎月約4500万ドル(約71億円)を献金する意向が報じられました。

著名投資家のビル・アックマン氏や、$ペイパル ホールディングス (PYPL.US)$元幹部のデイビット・サックス氏もトランプ陣営を支持しており、テック&シリコンバレー界隈と関係を深めている様子がうかがえます。トランプ陣営は「Make America First in AI」の旗を掲げ、政策の草案を作成中であると報じられています。これからその具体性や数値目標が明らかになってくることで、経済の成長ドライバーであるAI企業群の株価にも影響してくる可能性が高いと考えられます。

今後のスケジュールと重要イベント

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7月17日、トランプ氏が「FRBは大統領選前に利下げすべきではない」と発言したと報じられましたが、大統領選までのFOMCは実質あと2回です。いつFRBが利下げに踏み切るのか、注意深く見ていく必要があるでしょう。大統領選だけでなく、金融政策の変更や債券と為替の動向も株式市場に大きな影響をもたらします。

トランプトレード

$トランプ再選関連銘柄 (BK22962.US)$過去を振り返ると、トランプ政権の主要政策(減税、規制緩和、貿易戦争、ドル高政策など)は、株式市場に大きな影響を与えました。特に、法人税の減税政策は企業利益を押し上げ、株価上昇の一因となりました。エネルギー株や金融株も同様に、政策の恩恵を受けて成長を続けました。トランプ氏は法人税に関して、「現行の21%から15%に引き下げる」とインタビューで答えたことが、報じられています。

「Make America First in AI」関連株

  • テクノロジー企業:トランプ政権下では減税や規制緩和が、このセクターに属する企業の成長を促進しました。また、主に対中の貿易戦争の影響も一時的なボラティリティを生み出しましたが、長期的には成長を続けました。仮想通貨に関しても、トランプ政権は比較的寛容であると市場に受け止められているようです。

$テスラ (TSLA.US)$$インテル (INTC.US)$$ペイパル ホールディングス (PYPL.US)$$マラソン デジタル ホールディングス (MARA.US)$$コインベース グローバル A (COIN.US)$

  • エネルギー関連株:トランプ政権のエネルギー政策は石油・ガス業界にとって有利なものでした。環境規制の緩和やパイプライン建設の推進がこれらの企業の株価を押し上げました。

$エクソン モービル (XOM.US)$$ゼネラル モーターズ (GM.US)$$シェブロン (CVX.US)$$オクシデンタル ペトロリアム (OXY.US)$

  • 金融株:金融規制の緩和と金利の上昇期待(前政権時)が、金融株にもプラスの影響を与えました。ただし、現在はFRBの金融政策が利下げへと変わる局面である点には留意してください。

$バンク オブ アメリカ (BAC.US)$$JPモルガン チェース (JPM.US)$$ゴールドマン サックス グループ (GS.US)$

為替変動対策は?

市場の値動きが大きなとき、市場の潮目が変わったと感じられるときは、ヒートマップを確認してセクター別の共通項はなにかを探るのも重要です。例えば、「小売、食料品、電気・ガス」の共通項は「円高メリット銘柄」や「内需関連株」であることが分かります。

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「株価指数」とその寄与度の高い「円安メリット銘柄」や「半導体関連株」の個別銘柄の組み合わせに偏ったポートフォリオを構築するよりは、指数や為替の方向性と相関性が薄い銘柄を組み入れると、資産の分散効果が高まると考えられます。

大きく株式市場がマイナス推移した日、プラス着地した銘柄に目をつけておくのも大事です。7月18日であれば、$三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.JP)$$日本電信電話 (9432.JP)$は終値プラスであることから、こちらも「為替」に大きく反応しないことであったり、個別の需給要因など安心して買える銘柄であると判断されていると捉えることができるかもしれません。

まとめ

「大統領選アノマリー」と政党別のパフォーマンスの違いや注目セクターがあることの理解が深まりましたか?トランプトレードの戦略としては、トランプ氏の政策や発言を迅速にキャッチし、それに基づいたスピード感のある投資判断を行うと良さそうです。過去の傾向として、トランプ氏のツイートや演説は市場に大きな影響を与え、短期的なトレードチャンスがもたらされることも多かったです。また、指数や為替のトレンドとポートフォリオの相関関係を考えながら、リスクを調整したり、新たに銘柄を組み入れするのも投資アイディアとして考えられます。長期的なリターンを最大化するために、引き続き大統領選の動向を注視してまいりましょう。

(2024年7月18日作成)

*当記事内の数字はクリントン前大統領以降の各種データに基づき、moomoo証券で計算したものです。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報