量子コンピュータとは?仕組みと関連銘柄をわかりやすく解説【2026】

05/20 02:13

量子コンピュータは、従来のコンピュータでは現実的な時間で解けない問題を、量子ビット(キュービット)の性質を使って高速に処理すると期待される次世代技術です。2024年末のGoogle「Willow」を皮切りに誤り訂正で節目となる成果が相次ぎ、2026年には米政府が量子企業9社へ約20億ドルを出資、Quantinuum(クオンティニュアム)がナスダックに上場するなど、投資テーマとしても本格化しました。本記事では、量子コンピュータの仕組みをわかりやすく整理したうえで、米国の関連銘柄と本命の見極め方、暗号資産への影響まで解説します。

量子コンピュータとは?わかりやすく解説

量子コンピュータとは、「量子力学」の原理を利用して計算を行うコンピュータです。通常のコンピュータが「0」か「1」のどちらかをとるビットで計算するのに対し、量子コンピュータは「0」と「1」の両方の状態を同時に持つ「量子ビット(キュービット)」を使います。この「重ね合わせ」の性質により、組み合わせ最適化や分子のシミュレーションなど特定の計算では、スーパーコンピュータを遥かに上回る性能を発揮すると期待されています。

ただし、あらゆる計算が速くなるわけではありません。日常的な処理は今後も従来型コンピュータが担います。現在は量子と古典を組み合わせる「ハイブリッド計算」が主流で、NVIDIAのGPUと量子プロセッサを連携させる取り組みも進んでいます。

実用化の最大の壁は、量子ビットが外部のノイズに弱く、計算中に誤りが生じやすいことです。この「誤り訂正」をどう実現するかが長年の課題でしたが、2024年以降、Google、IBM、Quantinuumなどが相次いで節目となる成果を報告し、研究テーマから産業・投資テーマへと局面が変わりつつあります。

量子コンピュータの仕組みをわかりやすく

量子コンピュータの特徴

超高速計算が可能:量子ビットの「重ね合わせ」と「量子もつれ」により、特定の問題を並列処理できるため、従来のコンピュータでは数千年かかる計算を短時間で解決できる可能性がある。

取り扱える状態の組み合わせが指数関数的に増加 :一般的なコンピュータが 1 ビットずつ処理するのに対し、量子コンピュータは複数の状態を同時に扱えます。量子ビット数が増えると、扱える状態の組み合わせの数が指数関数的に増えていきます。

暗号解析や新素材開発、金融モデリングなど多岐にわたる応用:量子コンピュータは、現代の暗号技術を解読する能力を持つ可能性がある一方、新たな暗号技術の開発にも活用される。また、化学・製薬・金融分野でのシミュレーションにも大きな影響を与えると考えられている。

量子コンピューターの原理

量子コンピュータは、「量子力学」の3つの基本原理を活用しています。

1.重ね合わせ(Superposition)

通常のコンピュータでは、ビットは「0」または「1」のどちらかの状態をとるが、量子コンピュータの量子ビットは「0」と「1」を同時に持つことができる。これにより、複数の計算を同時に実行できる。

2.量子もつれ(Entanglement)

2つ以上の量子ビットが強く相関した状態を持つことで、一方の状態が変化するともう一方も瞬時に変化する。この性質により、大規模な並列計算が可能になる。

3.量子干渉(Quantum Interference)

量子状態の確率波が干渉し合うことで、特定の計算結果を強調し、間違った結果を打ち消すことができる。この性質を利用して、最適な答えを導き出す計算が可能になる。

量子コンピュータの仕組みと方式

量子ビットをどう作るかによって、いくつかの実装方式に分かれます。どの方式が主流になるかはまだ決まっておらず、これが後述する銘柄選びにも直結します。

  1. 超伝導方式(Superconducting Qubits) IBM、Google、Rigettiが採用する方式。極低温(約-273℃)の環境で超伝導回路を量子ビットとして動作させます。半導体製造に近い工程でチップを作れるため拡張性が高いです。

  2. イオントラップ方式(Trapped Ions) IonQ、Quantinuumが採用。イオンを電場で閉じ込め、レーザーで制御します。量子ビット1個あたりの精度(忠実度)が高い一方、大規模化と計算速度が課題です。

  3. 光量子方式(Photonic Quantum Computing) PsiQuantum、Quantum Computing Inc.(QCi)などが取り組む方式。光の粒子(フォトン)を使うため極低温設備が不要で、既存の光通信技術を活用できるのが強みです。

  4. 量子アニーリング方式 D-Waveが商用化を先行させた方式。組み合わせ最適化問題に特化しており、汎用計算はできませんが、物流や金融のスケジューリングなどですでに実績があります。

  5. そのほかの方式 中性原子方式(Atom Computing、Infleqtion)、トポロジカル方式(Microsoft「Majorana 2」)など、複数の方式が並行して開発されています。

量子コンピュータの実用化がもたらす可能性は?

量子コンピュータの実用化は、さまざまな分野に変革をもたらすと期待されています。

  1. 暗号技術の変革 現在の公開鍵暗号(RSAなど)を破る可能性があるため、量子コンピュータでも解読できない「耐量子暗号(ポスト量子暗号、PQC)」への移行が世界的に進んでいます。米国立標準技術研究所(NIST)は2024年に耐量子暗号の標準を正式に策定しました。

  2. 創薬・新素材開発の加速 分子や化学反応のシミュレーションを正確に行うことで、新薬の開発スピードが大幅に向上し、電池材料などの新素材の発見も加速する可能性があります。

  3. 金融モデリングと経済予測 高速かつ複雑なリスク評価やポートフォリオ最適化が可能になり、金融機関の投資戦略やリスク管理の高度化が期待されています。

技術的な課題は残るものの、2026年5月には米商務省がCHIPS・科学法に基づき量子企業9社に総額約20億ドルの支援と出資を決めるなど、国家レベルの後押しも始まりました。次章では、この分野を牽引する米国の関連銘柄を見ていきます。

量子コンピュータ関連の注目銘柄一覧(米国株)

アルファベット(GOOGL)

2024年12月に量子チップ「Willow」を発表し、量子ビット数を増やすほど誤り率が下がる「誤り訂正のしきい値超え」を実証したと公表しています。広告・クラウドを主要事業とする一方、同社は2020年代末の誤り耐性型量子コンピュータ実現を開発目標として掲げています。

IBM(IBM)

量子コンピュータ開発に長く取り組み、開発ロードマップを公表している企業です。同社は120量子ビットの「Nighthawk」による2026年末までの量子優位性の実証、2029年の誤り耐性型「Starling」稼働を目標としています。2026年5月には米商務省から10億ドルの支援を受け、量子ウエハの専業ファウンドリ「Anderon」を設立したと発表しています。

IonQ(IONQ)

イオントラップ方式を手がける専業企業で、同方式の上場企業のなかでは時価総額・売上規模が大きい部類に入ります。同社発表によると、2026年第2四半期の売上高は8,010万ドル(前年同期比287%増)、通期見通しは2億8,000万〜2億9,000万ドルに引き上げられています。2026年7月には半導体ファウンドリのSkyWaterを買収し、垂直統合型の体制への移行を進めています。M&Aを伴う拡大戦略は、統合コストや希薄化などの影響を受ける可能性があります。

Quantinuum(QNT)

ハネウェルの量子部門と英ケンブリッジ・クオンタムの統合により発足した企業で、2026年6月に公開価格60ドル、調達額約16.8億ドルでナスダックに上場しました。イオントラップ方式で性能指標の記録更新を公表しており、IPO後の手元資金は約21億ドル、ハネウェルが引き続き大株主となっています。上場からの期間が短く、株価の変動幅が大きくなる場合があります。

D-Wave Quantum(QBTS)

量子アニーリング方式で早期に商用提供を開始し、実業務での導入事例を公表している企業です。同社によると2026年上半期の受注(ブッキング)は前年同期比10倍超、米商務省からの1億ドル支援も決定しています。アニーリングに加えゲート方式にも開発領域を広げていますが、開発資源の分散が収益化時期に影響する可能性もあります。

Rigetti Computing(RGTI)

超伝導方式で設計から製造までを手がける企業です。108量子ビットの「Cepheus」を展開し、2026年5月に米商務省から最大1億ドルの支援を受ける基本合意を締結したと発表しています。2026年第2四半期の売上高は510万ドル(前年同期の約3倍)ですが、営業損益は赤字が続いています。業績以外の要因で株価が変動する場面もみられます。

Quantum Computing Inc.(QUBT)

薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)を用いた光量子方式に取り組み、アリゾナ州に自社チップ製造拠点を持つ企業です。常温動作が可能とされる光方式の技術に関心が集まる一方、売上規模は小さく、収益化の時期は明らかになっていません。株価の変動幅は他の6社と比べても大きくなる傾向があります。

※記載内容は各社の公表資料に基づくもので、将来の目標・計画は達成を保証するものではありません。数値は各社発表時点のものであり、最新情報は各社の開示資料をご確認ください。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

量子コンピュータ関連銘柄を選ぶ3つの視点

量子コンピュータ関連銘柄を検討する際は、次の3つの視点から企業の事業基盤や成長性を確認しましょう。

  1. 方式の分散:どの方式が主流になるかは未確定です。超伝導・イオントラップ・アニーリング・光など、複数の方式にまたがって持つと、どの技術が勝っても取りこぼしにくくなります。

  2. 売上と手元資金:専業企業は赤字が前提です。売上の伸び率、受注残(RPO)、手元資金の厚さで「開発を続けられる年数」を確認しましょう。

  3. 政府・大手の後ろ盾:米商務省のCHIPS法支援、NVIDIAやハネウェルなど大手企業との資本関係は、資金面の安心材料になります。

量子コンピュータが暗号資産に与える影響

量子コンピュータの発展は、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)に、脅威と進化の両面で影響を与えます。

  1. 暗号資産のセキュリティへの影響 ビットコインやイーサリアムは、楕円曲線暗号(ECDSA)などの公開鍵暗号によって保護されています。しかし、大規模な量子コンピュータで「ショアのアルゴリズム」を実行できるようになると、公開鍵から秘密鍵を逆算できる可能性があり、ウォレットの資産が奪われるリスクが指摘されています。特に、公開鍵がすでにブロックチェーン上に露出している古いアドレスは影響を受けやすいとされます。

  2. 耐量子暗号(PQC)への移行 この脅威に備え、NISTが2024年に策定した耐量子暗号の標準をもとに、金融機関や政府機関で移行が始まっています。ビットコインの開発者コミュニティでも耐量子署名への移行案が議論されており、いつ移行を完了させるかが今後の焦点です。

  3. ブロックチェーン技術の進化 量子コンピュータは脅威であると同時に、技術進化にも貢献します。量子計算を活用した取引の最適化や、量子耐性を備えた新しいブロックチェーンの開発が進めば、暗号資産の安全性と利便性が高まる可能性もあります。

量子コンピュータの危険性とリスクは?

量子コンピュータの発展には多くのメリットがありますが、以下のリスクが指摘されています。

  1. 暗号技術の脆弱化:既存の暗号資産やオンラインセキュリティの基盤となるRSAやECDSAなどの公開鍵暗号が、量子コンピュータによって解読される可能性があります。耐量子暗号への移行が遅れた組織ほどリスクは高まります。

  2. 金融市場の混乱:量子計算による市場予測やアルゴリズム取引が急激に進化すると、特定の機関が量子計算を独占した場合に市場の公平性が損なわれる懸念があります。

  3. 軍事・国家安全保障への影響:量子コンピュータは国家レベルの暗号解読にも影響を与えるため、機密情報が漏洩するリスクがあります。各国が国家戦略として量子技術に投資している背景には、この安全保障上の理由もあります。

  4. 関連銘柄の投資リスク:専業ピュアプレイの多くは赤字で、研究開発資金を増資で賄うため株式の希薄化が起こりやすい点に注意が必要です。株価は将来への期待を大きく織り込んだ水準にあり、技術的なマイルストーンや政府支援、著名経営者の発言といったニュースで1日に10%以上動くことも珍しくありません。余裕資金の範囲で、複数銘柄に分散して臨むのが現実的です。

米国株を見るなら moomoo証券

moomoo証券は、米国株投資に強みを持つネット証券です。量子コンピュータ関連銘柄のように値動きの大きい米国株を取引するうえで、次のメリットがあります。

article image

※1 米国株現物委託取引を提供するネット証券5社との比較。米国株現物委託取引(課税口座)における約定代金10米ドルの場合。(当社調べ、2026年7月27日時点)

※2 為替手数料は、円と米ドルを即時に両替するリアルタイム為替が無料です。為替手数料は定期的に見直しを行っており、今後有料となる可能性がございます。

※3 米国株・米国ETF取引を提供するネット証券5社との比較。(当社調べ、2026年8月10日時点)

まとめ

量子コンピュータは、量子ビットの「重ね合わせ」や「もつれ」を使って特定の計算を飛躍的に高速化する技術です。2026年は米政府の巨額支援と大型IPOが重なり、研究テーマから投資テーマへと本格的に移行しました。仕組みと方式の違いを理解したうえで、IonQやIBMなど米国の関連銘柄を比較するのが第一歩です。moomooアプリのテーマ投資で、最新の関連銘柄をチェックしてみましょう。

よくある質問

  • 量子コンピュータとは?

    量子力学の原理を利用して計算を行うコンピュータです。「0」と「1」を同時に持つ量子ビット(キュービット)を使い、最適化や分子シミュレーションなど特定の問題を従来型コンピュータより圧倒的に速く解けると期待されています。

  • 量子コンピュータの仕組みは?

    「重ね合わせ」「量子もつれ」「量子干渉」という3つの原理を利用します。量子ビットの作り方には超伝導、イオントラップ、光量子、アニーリングなど複数の方式があり、どの方式が主流になるかはまだ決まっていません。

  • 量子コンピュータと半導体の違いは?

    半導体は「0」と「1」を電気信号で処理する従来型コンピュータの基盤です。量子コンピュータはこれを置き換えるのではなく、特定の計算を分担する存在で、実際には半導体(GPUなど)と組み合わせるハイブリッド計算が主流です。超伝導方式の量子チップは半導体製造技術を使って作られるため、両者は補完関係にあります。

  • 量子コンピュータにはどんなリスクがある?

    技術面では既存の暗号が解読されるリスク、投資面では専業企業の赤字継続、増資による希薄化、ニュースによる急騰・急落といったリスクがあります。関連銘柄は余裕資金の範囲で分散して投資するのが基本です。

  • 量子コンピュータ関連銘柄は、どう探す?

    moomooアプリの「米国株」>「テーマ投資」>「量子コンピュータ」から、関連銘柄を時価総額順に一覧できます。専業ピュアプレイ(IONQ、QNT、QBTS、RGTIなど)と、IBMやアルファベットなど本業が盤石な大型株を組み合わせて比較するのがおすすめです。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報

目次
量子コンピュータとは?わかりやすく解説
量子コンピュータの仕組みをわかりやすく
量子コンピュータの仕組みと方式
量子コンピュータの実用化がもたらす可能性は?
量子コンピュータ関連の注目銘柄一覧(米国株)
量子コンピュータ関連銘柄を選ぶ3つの視点
量子コンピュータが暗号資産に与える影響
量子コンピュータの危険性とリスクは?
米国株を見るなら moomoo証券
まとめ
よくある質問