株式交換
株式交換は、企業の組織再編や経営効率の向上を目的としたM&A(合併・買収)の手法です。企業が株式交換を行うと発表すると、株価に影響が及びます。今回は株式交換の基礎学び、個人投資家が知っておきたいポイントをまとめました。
株式交換
株式交換は、一方の企業が別の企業の全株式を取得し、その会社を100%完全子会社化することです。完全子会社化される企業の株主には、交換比率に応じて親会社の株式が割り当てられます。

株式交換を行う企業のねらい
親会社となる一方の企業が、自社株式を用いて株式交換の対象企業の株主に割り当てることで、対象企業を完全子会社化します。このために多額のキャッシュを用意する必要もないため、資金繰りへの影響を抑えることができます。株式交換を行っても、子会社は独立した法人のままでいられるため、従業員や取引先・顧客への影響は抑えつつ、会社の独立性が維持されます。
株式交換は、特定比率以上の株主の賛同が得られると実施可能で、全株主の同意は必要ありません。場合によっては株主総会の決議を省くこともできます。このため、スピード感のある完全子会社化が実現可能です。 企業統合のシナジー効果の早期実現や経営資源の有効活用が期待できます。

個人投資家として知っておきたいポイント
株式交換の発表は、サプライズとして受け取られ、関連する企業の株価に変動をもたらします。株式交換は、親会社側の株価には重しとなり、完全子会社化されるほうの株価が上がる傾向にあります。
株式交換を実施するという開示が発表されたら、株式交換が保有株にどのような影響を及ぼすかを把握するために、まずは内容をよく確認しましょう。
【事例】IHI(7013)と明星電気(6709)の株式交換の事例
2021年5月13日、IHI(7013)は、子会社である明星電気(6709)を株式交換によって完全子会社化すると発表しました。
明星電気の上場廃止日は2021年7月29日(28日が最終売買日)
交換比率は以下の通りでした。
IHI 完全親会社 | 明星電気 完全子会社 | |
株式交換による割当比率 | 1 | 0.42 |
株式交換比率が短期的な株価の値動きに直結することがお分かりになるでしょう。完全子会社化されるほうの株価は、交換比率で考えたときに親会社の株価とのギャップを埋める形で変動します。なお株式交換の実施の発表を受け、子会社の株式を買いに行ってサヤ寄せぶんの利幅をとるという短期的な戦略は「スピード勝負」です。
明星電気を100株持っていたとすると、IHI42株が割り当てられます。IHIは100株単位で取引するので、42株は単元未満株です。
(上場廃止前)明星電気100株
(上場廃止後)IHI42株
単元未満株でも株数に応じての配当金がもらえます。単元未満株の扱いが面倒だな、他の銘柄に変わってしまうのは嫌だなと思う方は、上場廃止前に売却するのが最適解かもしれません。
親会社のほうの株式を持っていた場合は、長期的な視点を持った投資判断をしていくことが基本となるでしょう。株価の短期的な変動とは別に、株式交換を経て良いシナジー効果を生み出すと受け止められた場合、中長期的には株価にポジティブに動くこともります。
株式交換が、親会社側の株価には重しとなると一般的に言われる理由は、親会社のほうは「子会社の完全子会社化どういう効果を生むのかは不確定」という要素を抱え込むからです。完全子会社化に伴うコスト増や企業カルチャーの衝突が悪材料と捉えられる場合、買収した親会社の株価はやはりネガティブな影響を受けると考えられるでしょう。
ただし、事例の宇宙関連の企業である明星電気を完全子会社化したIHIの株価は、完全子会社化と同時に好決算を出しており、発表直後には下落はみられませんでした。

親会社の株価は、子会社を完全子会社化したあとも以下の市場評価によって変動していきます。
統合後の企業戦略
対象となる企業間の相対的価値
株式交換によって生まれるシナジー
保有銘柄が完全子会社化で買収されると発表されたら?
まず、「子会社のほうの株をいくらで持っているか」です。交換比率によっては、サヤ寄せ後の株価でも買付単価より低い場合があります。その場合上場廃止になってしまうからといってすぐに売るよりは、親会社の株式が割り当てされたあと、長期で親会社の推移を見守るというのもひとつです。
サヤ寄せ後の株価水準で利益が出る場合も、投資方針・上場廃止までの値動きに基づいて売却のタイミングを検討する必要があります。利益も出ており、他の銘柄に変わってしまうとどうなるか分からないのは嫌だなと思う方は、発表後すぐ~上場廃止前に売却するのもひとつです。
上場廃止日を迎えると、子会社化されるほうの株式を保有している場合、自動で親会社の株式に交換されてしまいますので注意してください。
まとめ
株式交換発表はサプライズです。株式交換行うという発表が企業からあった場合、まずは交換比率確認しましょう。もし子会社のほうの株式を持っていたら、自分の保有単価と交換比率で以てサヤ寄せされる株価との乖離で、利益がでるのか?すぐに売ると損失になるのか?を知ってください。その後は、ご自身の投資判断に基づいて市場で子会社の株を売却するか、親会社の株式に割り当てられた後、親会社の株主として推移を見守るかです。
株式交換後の親会社の株価推移は完全子会社化後のシナジーへの評価や将来性などによってケースバイケースです。
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
