EPSが株価に与える影響
決算シーズンが近づくと、企業は決算報告書を公表します。決算発表で投資家が、最も注目する傾向のある項目。それは、EPSです。
EPSは、発行済み普通株式 1 株当たりの企業の収益性を測定します。言い換えると、企業が1株あたりいくら稼いでいるかということです。決算書をみていると、2つのEPSが頻出することにお気づきになるかもしれません。基本EPSと希薄化後EPSです。
基本 EPS は、企業の純利益を発行済み普通株式数で割ることによって計算されます。[i]たとえば、会社 A の純利益が 1,000 万ドルで、発行済み普通株式が 500 万株ある場合、EPS は 2 ドルになります。ここで、会社が優先株も発行している場合は、まず優先株の配当金が純利益から差し引かれます。前の例に戻ると、会社 A が優先配当で 100 万ドルを支払う場合、基本 EPS の計算式は 1,000 万ドルから 100 万ドルを引いて 500 万株で割ると、EPS は 1.8 ドルとなります。
基本 EPS とは異なり、希薄化後 EPS では発行済株式数を、より詳細に計算します。希薄化後 EPS を計算するには、純利益を発行済み普通株式と潜在株式数を足したもので割ります。潜在株式には、優先株、転換社債、ストックオプションが含まれます。このため、希薄化後 EPS は、基本 EPS の数値よりも低くなるのが一般的です。
企業のEPSの推移を長期的に観察することは、投資家にとって重要です。なぜなら、EPS が、長期的にみて株価を決定する上で重要な一因となる可能性があるからです。EPS が着実に上昇することで、株価も上昇する可能性があります。[ii]一方、EPS の低下は、株価の下落を示す可能性があります。ただし、好業績が短期的には必ずしも株価の上昇につながるとは限りませんし、その逆もまた同様です。
アナリストの予想も重要です。アナリストの予想とは、個々のアナリストや投資銀行が決算の前に出す予想の数字をいいます。企業が予想を上回る EPS を公表すると、株価は上昇することがあります。 [iii]アナリストの予想を下回るEPSを公表した場合、株価は下落する可能性があります。そうなると、EPSが着実に上昇している企業への投資を望むかもしれませんね。ただし、EPSの増加が必ずしも会社の業績の向上、ひいては株価の上昇を意味するわけではないことに注意してください。
企業は 2 つの方法で EPS を増やすことができます。まず、純利益を増やすこと、そして発行済み株式数を減らすことです。
発行済み株式数が比較的一定であれば、企業は純利益を増やすことで EPS を高めることができます。この場合、企業の収益が増加していることを示す良い兆候である可能性があります。ただし、純利益が一時的な出来事によって増加した場合、そのEPSの上昇には持続性がないことがあるため、注意する必要してください。
つぎに、企業は、発行済み株式数を減らすことによって、より高い EPS を生み出すこともできます。このように市場に出回っている株式を自社で買いとり、発行済み株式数を減らして、同じ水準の利益を考慮して EPS を引き上げることもあります。このことを株式消却といいます。近年では、現金を自社株買いに充てることが増えています。自社株買いをおこなうことで、市場に出回る株式は減少するので、企業の利益水準が同じでさえあれば、EPSは高まります。 [iv]
カラクリが理解できましたか?
結論として、企業の収益性を示す指標としてEPSは重要です。EPSは企業の株価に大きな影響を与えるため、投資家からも注目されています。
純利益とEPSの理解については少しだけ難しいかもしれませんが、繰り返し決算を見ることで学んでいきましょう!
これで今回のビデオは終わりです。また次回お会いしましょう!
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
