ターゲット・バイ:希望価格での買付とプレミアム収入を両立するオプション戦略
「この価格で株を買いたい。でも、指値注文を発注するだけでは収益は得られないし、約定しなければ機会損失で終わってしまう。」
そんなときに活用できるのがターゲット・バイ戦略です。今回は、この戦略の仕組みについてわかりやすく学んでいきましょう。
ターゲット・バイとは?
ターゲット・バイ(Target Buy)は、「この価格まで下がったら買いたい」と考える株式に対して、その価格を権利行使価格としたプットオプションを売却し、プレミアムを収益として受け取りつつ、希望価格での株式購入を目指す戦略です。
現物株を買うための現金(資金)を用意したうえでプットオプションを売ることで、株価が下落した場合に株を取得する義務を負う一方、プットの売却によってプレミアムを受け取れます。株価が下がらなければ株は取得されず、プレミアムのみが収益となります。
戦略の仕組み
ターゲット・バイ戦略は、以下のように構成されます。
1、現物株の購入資金をあらかじめ準備
プットオプションが行使された場合を想定して、必要なキャッシュを用意します。
2、購入を希望する銘柄と価格を選択
「この価格まで下がったら買いたい」と思う価格を権利行使価格として選びます。
3、プットオプションを売却
オプションの売却時にプレミアム収入を獲得し、株価が下落した場合には権利行使価格で株式を取得します。下落しなかった場合はプレミアムがそのまま利益となるため、どちらに転んでも一定の合理性があります。
補足:必要なキャッシュの目安
オプション1枚は「100株単位」で取引されます。例えば「権利行使価格が95ドル」のプットを1枚売却する場合、95ドル × 100株 = 9,500ドル相当の購入資金をあらかじめ準備しておく必要があります。
この金額は、発注時点で実際にオプション口座に入っていないと、注文そのものを出すことができません。現物株の約定が確定するかどうかにかかわらず、必要な資金がない場合は発注不可となる点にご注意ください。
例で確認してみましょう
投資家Mさんは、現在株価が100ドルのりんご社株を「95ドルまで下がるなら買いたい」と考えています。
ただし、指値買い注文のようにただ株価が下がるのを待つだけでは機会損失だと感じ、ターゲット・バイ戦略(=プットオプションの売却)を実行することにしました。
取引内容の詳細:
Mさんは、1か月後に満期を迎える権利行使価格95ドルのプットオプションを、プレミアム2ドルで※1枚(100株分)売却しました。
受取プレミアム(受取額)の計算式:2ドル(プレミアム) × 100株(1枚の単位)= 200ドル
このオプションの売却時に、200ドルのプレミアムを受け取りました。
※(オプションは1枚単位=100株分)
注文時は「オプション」からプットの売りを選択します。

満期時のシナリオ別の結果
「希望価格で株を買えて、さらにプレミアムも得られる」というのが、ターゲット・バイにおける理想的なシナリオです。
途中決済は本来の目的にそぐわない
満期を待たずにオプションを途中で手じまい(決済)することも可能ですが、「希望の価格で株を買いたい」という目的が前提にあるこの戦略において、途中決済は本来の意図から外れる行動といえます。
途中決済を選ぶということは、株式の買付ではなく、短期的な収益の獲得を目的とするスタンスへの転換と捉えるのが適切です。株価の下落による利益を狙いたいのであれば、はじめからプットの買いやプロテクティブ・プットといった他の戦略を検討するのが無難でしょう。
ターゲット・バイのメリットと留意点
メリット
希望価格での株式購入が実現する可能性があります。
ただ株価の下落を待つだけでなく、プレミアム収益が得られるため、指値の買い注文よりも「待つこと自体に経済的意味」が生まれます。
株の取得があってもなくても、プットを売却した時点でプレミアム収益は確定します。満期まで保有すれば、原則としてこのプレミアムはそのまま収益となります。
留意点
プット売却時点で、株式購入に必要な現金を全額確保しておく必要があります。
株式取得後の価格変動リスクはそのまま残ります。
どんな投資家にターゲット・バイ戦略は向いている?
「この価格になったら買いたい」という明確な購入水準を持っている方
安値での株式取得を目指しながら、株価の下落を待つだけの機会損失を抑えたい方
ターゲット・バイ戦略(別名:キャッシュ・セキュアード・プット)は、指値買い注文の代替として、プレミアムを受け取りつつ希望価格での買付機会を待つ戦略として活用されています。
ほかのオプション戦略を学ぶ:
カバード・コール:保有株を活用してプレミアムを得るためのオプション戦略
プロテクティブ・プット:保有資産に対する「保険」として有効なオプション戦略
プレミアムについてもっと知る:
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
