株取引で知りたい銘柄分析のやり方【ファンダメンタル分析編】

株の銘柄分析には、大きく分けると次の2種類の方法があります。

特にファンダメンタル分析は、企業の経営状況の把握や、今後の業績の見通しを予測できるため、中長期投資の銘柄選びに役立ちます。
ただし、チェックするべき指標や分析の方法を理解していないと、業績が悪化する可能性がある企業に投資をして大損してしまうことにもなりかねないので注意しましょう。

カテゴリ
株のファンダメンタル分析とは
>決算について
>決算書で見るべき項目
>分析に使う指標
ファンダメンタル分析を使った企業分析のやり方
>手順①:銘柄を検索する
>手順②:四季報を表示する
>手順③:時価総額を確認する
>手順④:自己資本比率を確認する
>手順⑤:「売上高」と「営業利益」を確認する
>手順⑥:「売上高営業利益率」を確認する
>手順⑦:PER(株価収益率)を確認する
>手順⑧:PBR(株価純資産倍率)を確認する
>手順⑨:ROE(自己資本利益率)を確認する
>手順⑩:ROA(総資産利益率)を確認する
>手順⑪:総合判断をする
まとめ
株のファンダメンタル分析とは
株のファンダメンタル分析とは、企業の財務状況や業績状況のデータをもとに、分析を行う方法です。
ファンダメンタル分析が行えるようになると、この企業の経営は安定しているか、業績は伸びているのかなど、企業の経営状況を正確に把握できるようになります。
そして、株式投資をする場合、この企業は今後も成長していくのか、また、どの企業の銘柄に投資したらよいのか、自分で企業の業績の見通しを予測できるようになるでしょう。
では、ファンダメンタル分析を行う場合に必要な次の3つの項目を具体的に確認していきましょう。

決算について
企業の「決算書」は、ファンダメンタル分析を行う場合に最初にチェックすべきものです。
決算書さえ見れば、その企業の売上は順調か、借金をどのくらい抱えているのか、など、客観的な数字をもとに、企業の経営状況をすぐに確認することができます。
そもそも、決算とは、各企業が決めている営業年度(1年間)の区切りのことを指します。
営業年度の1年間のスタート時期は、各企業が自由に決めることができるため、4月初めから翌年の3月末までとする企業もあれば、1月初めから同年の12月末までとする企業もあります。
そして、営業年度の終わりである決算迎えた後には、売上高や、利益など、企業がどのくらい成長したのかをチェックすることができる、いわゆる企業の成績表とも言える「決算書」が公開されます。
決算書で見るべき項目
決算書は、いくつかの資料で構成されていますが、ファンダメンタル分析の基本となる資料は大きく3種類です。

上の3つの資料を確認すると、企業の売上状況など、大まかな経営状態であれば簡単に把握できます。
それぞれどういう資料なのか、また資料から何が分かるのかを確認しましょう。


貸借対照表では、一定時点の企業の資産と負債のバランスをチェックできます。
どのくらいお金があるのか、借金はどのくらいかなど、企業の安定性を数字で確認します。
貸借対照表は、すべての上場企業が必ず作成しなければならない決まりとなっており、決算書の基本となる資料です。


損益計算書では、一定期間に企業がどのくらい儲けたのか、という利益について把握できます。
貸借対照表と同様に、損益計算書もすべての上場企業が必ず作成しなければならないもので、決算書の重要な資料です。
また、企業の利益と言っても、様々な切り口で分析する必要があるため、損益計算書には以下のような名称の異なった収益額が掲載されています。

損益計算書では、これらの収益をチェックするだけでは不十分です。
たまたま、前期の売り上げが多かっただけだったり、前期は大規模な設備投資をして費用がかかってしまっていたりと、1年分の収益をチェックしただけでは、企業の経営状況の流れをつかむことができません。
そこで、実際にファンダメンタル分析を行う場合は、単に、1年分の売上高だけではなく、ここ10年分くらいの売上高の推移をチェックすることも大切です。
収益の推移を見ることで、企業の経営方針が適切なのかを知る大きな手掛かりとなります。
また、売上高と営業利益を使って計算することができる「売上高営業利益率」などの指標を使えば、企業の経営効率を他の企業と比較しやすくなるでしょう。


キャッシュフロー計算書では、企業の資金繰りか順調か、お金の流れはどうなっているかを確認できます。
家庭でいえば、家計簿のような存在です。
キャッシュフロー計算書は、大きく次の3つのキャッシュフローに分類し、企業が、資金繰りに困り、倒産することがないかをチェックします。

例えば、お金の資金繰りがうまくいっていない企業の場合、損益計算書上では利益が出ているように見えても、回収や支払のタイミングによっては営業のキャッシュフローが赤字になっているケースもあります。
最悪の場合、「黒字倒産」となってしまうことがあるので、キャッシュフロー計算書で、しっかりと企業の資金繰りを確認しておきましょう。
なお、キャッシュフロー計算書は、上場企業では、作成することが義務付けられていますが、非上場の中小企業などは作成する義務がなく、作っていない企業も多いと言われています。
分析に使う指標
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など、決算書の資料の種類や内容を理解しても、ただ数値を眺めているだけでは、「その企業が安全なのか」「割安の株なのか、割高の株なのか」ということは、判断ができません。
そこで、決算書に書かれている数字を使って、株式投資のポイントとなる指標を確認することで、企業の分析を行う必要があります。
たくさんの指標をチェックするとなると、時間も手間もかかるため、まずは基本的な項目を抑えるようにしましょう。
投資初心者の場合、ファンダメンタル分析の際にチェックしておきたい主な指標は、次の8個です。

ファンダメンタル分析を使った企業分析のやり方
それでは実際に、企業のファンダメンタル分析の方法を見ていきましょう。
指標の見方・経営状況や安全性の確認などは、自分で実践することで身につけられます。
ここでは、moomoo証券を使ったファンダメンタル分析の手順として、トヨタ自動車の株を例にまとめました。
手順①:銘柄を検索する

まずはmoomoo証券にログインし、トップページを表示しましょう。ログインできたら、画面左上の赤枠部にあるマークを選択します。
選択すると検索フォームが表示されるため「トヨタ」と入力して検索しましょう。企業の正式名称がわからなくても、一部を入力すれば、該当の企業が一覧で表示されます。
「トヨタ」に該当する複数の銘柄から、トヨタ自動車を選んで選択すれば、詳細が確認可能です。

手順②:四季報を表示する
moomoo証券には四季報の欄が用意されていませんが、四季報に相当する情報を確認可能です。財務・会社などのタブを開いて、必要な情報をチェックしましょう。

手順③:時価総額を確認する
四季報に相当する情報を確認できたら、トヨタ自動車の時価総額を確認しましょう。時価総額は、出来高右側の矢印部分を選択すると表示されます。

時価総額は、企業の大きさを示す数字です。大きければ大きいほど、大企業になることを理解しておきましょう。
1位のトヨタ自動車が約30兆円、2位のキーエンスが約16兆円と倍近い差があることから、かなりの大企業といえます。
手順④:自己資本比率を確認する
次に「自己資本比率」をチェックします。

トヨタ自動車の自己資本は約20兆円と潤沢ですが、負債自体も多いです。そのため、自己資本比率は約38%と決して高くありません。

※引用元:日本経済新聞社
同じ自動車業界の企業としての中ではSUBARUがの数値が高く、52%と圧倒的に高い数値を誇っています。
時価総額・企業規模ともに大きいトヨタ自動車であっても、自己資本では、他社に劣っていると判断可能です。
企業の成長のために投資をしていると判断するなら、今後の成長にも期待できるかもしれません。
手順⑤:「売上高」と「営業利益」を確認する
トヨタ自動車の収益を確認するためには、「売上高」と「営業利益」を見る必要があります。moomoo証券内で確認する際は「財務」の中にある「損益構成書」を選択しましょう。

本項目では売上高や営業収益が確認でき、トヨタ自動車は2020年まで順調に利益を伸ばしていることが分かります。
2021年はコロナの影響もあり売り上げを落としていますが、2022年・2023年ともに再度売り上げが増えていました。
売り上げの加工や上昇の原因については、トヨタ自動車が公開している「投資家情報」の「四半期報告書」を確認してみましょう。

何が影響して業績が良くなっているかを知っていれば、安定した企業かどうかも判断しやすいです。また、可能であれば自動車業界全体の業績についても確認しておきましょう。
トヨタ自動車だけの売り上げが良いのか、業界全体の売り上げが上がっているのかをチェックすることが大切です。
手順⑥:「売上高営業利益率」を確認する
トヨタ自動車の業績を正しく分析するためにも「売上高営業利益率」の確認が大切です。
企業規模が違う場合、売上高営業利益率を比べることで、どのくらい効率的に経営を行っているのかを判断できます。
まずはトヨタ自動車が公開している「投資家情報」の「財務データ」にアクセスし、売上高営業利益率の推移を確認しましょう。

ファンダメンタル分析をする際は、企業が公開している正確で具体的な数字を確認するのが大切です。
また、経済産業省が行っている「企業活動基本調査」も活用してみましょう。
「企業活動基本調査」では、各業界のさまざまな株式指標の平均値を公開しています。自動車業界は「輸送機械器具製造業」に分類され、売上高営業利益率の業界平均値を確認可能です。
例えば、2019年の調査によると、自動車業界の売上高営業利益率は平均3.9%となっています。トヨタ自動車は8.2%となっており、利益率が高いです。
売上高営業利益率が高ければ経営効率が良いと判断でき、業界内ではトップクラスといえます。
また、2023年5月には新型コロナウイルスの制限が緩和されました。このことにより、さまざまな業種への影響が少なくなり、トヨタ自動車も例外ではありません。
最終的な購入判断は自分自身でする必要があるため、業績やその他指標を考慮したうえで投資判断を進めましょう。
手順⑦:PER(株価収益率)を確認する
投資家の企業への期待度を確認するためには、PERのチェックが大切です。
PERの数値は業界によって大きな違いがあるため、トヨタ自動車の数値だけを確認しても意味がありません。自動車製造をしている企業と比較して、大きいのか小さいのかを確認しましょう。
なお、トヨタ自動車のPERは出来高右側の矢印を選択すると表示されます。

2023年6月1日時点でのPERは11.15倍となっており、近年の数値から比較すると低めになっています。
PERの数値は、低ければ低いほど割安と判断可能です。投資家の判断指標としても重要で、あまりにも数値が高いと買い控えが起きる可能性もあります。
逆に、既に株を保有している投資家からは売りの判断をされることもあるため、慎重に判断することが大切です。
もちろんPERだけで判断するのではなく、その他の指標も参照したうえで投資するかを決めましょう。
手順⑧:PBR(株価純資産倍率)を確認する
PERを確認したら、株価が割高・割安を判断する指標のPBRをチェックしましょう。一般的に、PBRの目安は1倍です。
PBRが1倍であれば、株価と一株当たり純資産額が等しいことを示します。結果、株価が正当な評価を受けていると判断可能です。
2023年5月に入ってから、トヨタ自動車のPBRは0.89~0.94倍を推移しています。

※引用元:7203 トヨタ自動車 PBR|IR BANK
上記のことから、若干割安であると判断可能です。ただし、自動車業界の中にはトヨタ自動車よりもPBRが低く、PERが同水準の企業もあります。
結論として、トヨタ自動車の株価が大幅に上昇することは期待できません。多少の値上がりは期待できるため、投資を判断する一つの材料として活用しましょう。
手順⑨:ROE(自己資本利益率)を確認する
次に、自己資本でどのくらい利益をあげているかを示すROEを確認していきます。株式投資においてROEは、投資家が最も重視する指標の一つです。
ROEは10%を超えると、一般的に優良企業であると認識されます。トヨタ自動車のROEは約9%と、10%を若干下回っている点を認識しておきましょう。

また、企業によってはROEがマイナスになっている可能性もあります。ROEがマイナスになるケースは、利益のマイナスや債務超過がほとんどです。
大手企業であっても、業績が悪かったり負債が多すぎたりすると、ROEが低いもしくはマイナスとなります。結果、安定した経営ができていないと判断可能です。
経営方針が変わったり経営者が変更になったりしていない場合、経営状況の改善は期待できません。ROEがマイナスになっている企業への投資は、一旦見送りましょう。
トヨタ自動車が公開している「投資家情報」の「財務データ」には、当期純利益とROEの推移が分かるグラフが掲載されています。
トヨタ自動車の場合、当期純利益とROEは基本的に連動しています。当期純利益が上がればROEも上がり、当期純利益が下がればROEも下がります。
合わせて、ROEの推移をチェックすることも大切です。

上記表の通り著しく数値が変動していないため、トヨタ自動車は安定した経営ができている企業といえます。
手順⑩:ROA(総資産利益率)を確認する
株式指標として、ROAの確認も大切です。ROAの数値が高ければ、収益性が高いと判断できます。
ROAについては、5%を超えていると優良企業と判断して問題ありません。

トヨタ自動車の約3.5%となっており、優良企業ではないものの、決して経営状況が悪いとも言えません。
逆にROAがマイナスとなっている企業は、業績が悪化していたり、負債が多かったりします。そのため、効率的な経営ができていないと判断できるでしょう。
あわせて、ROAの推移もしっかりチェックするのが大切です。トヨタ自動車が公開している「投資家情報」の「財務データ」では、以下の数値となっています。

常に5%を超え続けるのはなかなか難しいですが、比較的安定した経営ができていると判断して問題ないでしょう。
手順⑪:総合判断をする
今回実施したファンダメンタル分析の結果から、トヨタ自動車は自動車業界の中でも安全かつ健全な経営を行っていると判断できます。
数値から大きな値上がりは期待できませんが、手堅い投資をしたいという人にはおすすめです。
ただし、投資に正解はありません。上記はあくまで筆者の考えとなるため、投資に失敗する可能性も理解しておいてください。
最終的な株式の購入は、投資家一人一人の判断が必要です。
株式指標や日本経済・世界経済の動向を予測して判断しなければならないのが、株式投資の難しいところといえるでしょう。
まとめ
今回は、株のファンダメンタル分析に使う様々な株式指標が出てきたので、特に投資初心者の方は、少し戸惑ってしまったかもしれません。
また、PBRやROAなど、横3文字の経済用語に抵抗感がある場合、ファンダメンタル分析を行うことに、億劫だと感じてしまう方もいるかもしれません。
実際のところ、ファンダメンタル分析は、プロの投資家が行っても、必ず投資に成功するということはありません。
多くの知識や、経験があったとしても、株価の今後の動きを正確に予測するのは、困難です。
また、ファンダメンタル分析だけを行っても、株式投資で必ずもうかる保証はありません。
様々なチャートを使って株価を予測する「テクニカル分析」と組み合わせたり、世の中の景気動向を予測したりすることも必要です。
ファンダメンタル分析は、あくまで、株式投資を成功させるための手助けとなる、手段の一つなので、難しく考えすぎず、まずは、自分が注目している銘柄について、指標をチェックしてみましょう。
そして、ファンダメンタル分析に慣れてくると、企業が公開している決算書や財務諸表を読み解くのが、より効率的にできるようになり、指標への理解も深まります。

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
