上場廃止
上場廃止と聞くと、経営が破綻したというイメージが付きものです。しかし、実際のところ経営破綻という理由で上場廃止にいたるケースはごく稀なのを知っていましたか?
今回は、企業が上場廃止にいたる理由と個人投資家への影響を学びましょう。
上場廃止
上場廃止は、取引所に上場している企業が、上場企業自らが上場廃止を申請したり、取引所が定める上場廃止基準に該当したりすることにより、その企業の株式が取引所での売買取引ができなくなる状態を指します。

上場廃止はなぜ起こるのか?
上場廃止に至る理由は大きく分けて2つあります。
完全子会社化やMBOなどの経営戦略(M&A、TOB)
経営破綻など上場廃止基準の該当(債務超過、破産、更生)
直近2年間の上場廃止企業数とその理由
上場廃止数 | 経営破綻など上場廃止基準の該当 | |
2023年 | 63社 | 3社 |
2022年 | 77社 | 2社 |
出所:JPX上場廃止銘柄一覧
経営破綻など上場廃止基準の該当を理由に上場廃止に至る企業は、実は少ないことが見てとれます。
上場廃止になる理由は大きく分けて2つでしたが、企業が上場廃止を発表したあとにどうなるかは、上場廃止になる理由によって異なってきます。

「経営戦略」と「上場廃止基準の該当」という2つのパターン分けて、株式はどうなるのか?投資家はどうしたら良いのか?それぞれ説明していきます。
経営戦略による上場廃止
【事例】シノケングループ
シノケングループは、株式の併合により2022年12月22日に上場廃止となりました。
経営戦略による上場廃止が発表されたら、どうしたら良い?
MBOやTOBの発表後、株式を買収する企業に提案された買取価格や条件を顧みて、株式をいつどのように売却するか判断しましょう。手続きや資金拘束などを総合的に考えると、市場売却が合理的な選択となるかもしれません。
TOBに申し込みする
上場廃止までに市場で売却する
信託銀行で金銭交付(TOBに応じなかった場合、所定の手続きあり)
保有しつづける(非公開化後は市場での売却はできなくなり、手続きはつどご自身で行う必要があります)
上場廃止基準の該当による上場廃止
上場廃止基準は以下のような事例が挙げられます。
経営破綻
債務超過
破産・更生手続き
内部管理体制の不備
四半期報告書の提出遅延
上場廃止基準の該当で上場廃止となった銘柄例
上場廃止日 | 会社名 | 理由 |
2024年1月6日 | プロルート丸光 | 会社更生手続 |
2023年4月30日 | アジア開発キャピタル | 内部管理体制の不備 |
2022年8月23日 | テラ | 経営破綻 |
2021年8月1日 | オンキヨー | 債務超過 |
2020年10月3日 | Nuts | 破産手続き開始の決定 |
上場廃止基準の該当が原因で上場廃止になる場合、その企業は一定期間にわたって経営不振が続いており、すでに株価も低迷している場合が多いです。上場基準に違反すると判断された企業の上場廃止は、最終的には取引所が決定します。
※上場廃止基準に該当する恐れがある銘柄は監理銘柄として投資家に事前周知されます。
株式の扱い
上場廃止基準に該当する場合、株式は事実上価値を失い、紙切れ同然となる可能性が高いです。
投資家への影響
株価の大幅な下落
業績悪化が明らかになった段階で株価は下落し始め、上場廃止が決定するとさらに下落することが一般的です。
投資の回収困難
上場廃止後、株式は公開市場で取引されなくなるため、売却して投資資金を回収することが難しくなります。
【事例】プロルート丸光
プロルート丸光(8256)は会社更生手続の事由により2024年1月6日に上場廃止となりました。
同社は、 新型コロナ感染拡大で業績が低迷するなか、雇用調整助成金の不正受給問題や元会長らによる粉飾決算、続く不正で上場廃止が決定し、会社更生法による経営再建を図るに至りました。
同社が監理銘柄、整理銘柄に指定された時期の株価チャートを見てみましょう。

上場廃止基準の該当による上場廃止が発表されたら、どうしたら良い?
端的に言えば、なるべく高い株価で売却するようにしてください。上場廃止が決定しても、一定期間(通常は1ヶ月程度)は整理銘柄市場で取引が可能となり、その間株価が大きく動きます。上場廃止日が近づくと株価は低迷を極めるため、なるべく高く、なるべく早く売却できると良いでしょう。
業績悪化が報じられた時点で、その企業の将来性を慎重に評価し、必要に応じて投資戦略を見直すべきです。(管理銘柄とされる銘柄には、積極投資を控えたほうが良いでしょう。)
上場廃止が決定した場合は、可能な限り損失を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。

まとめ
上場廃止は、上場企業自らが上場廃止を申請したり、取引所が定める上場廃止基準に該当したりすることにより、その企業の株式が取引所での売買取引ができなくなる状態を指します。
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報
