利益を守りながら伸ばす、トレールストップ注文の使い方
株価の変動を予測するのは簡単ではありません。順調に上昇していた銘柄が突然急落することもあれば、利益確定のタイミングを逃して利益が減ってしまうこともあります。「あの時に買えていれば…」「もっと早く売っていれば…」 そんな後悔をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
トレールストップ注文は、こうした悩みを解決する強力なツールのひとつです。
トレールストップ注文とは?
トレールストップ注文は、設定したトレール金額/比率を元に、株価の変動に応じて自動的にトリガー価格(注文の発動条件となる価格)を更新する注文方法です。
買いと売りのトリガー価格の動作方向
買いの場合:株価が下落するたびにトリガー価格が下がります。上昇した場合はそのままです。
売りの場合:価格が上昇するたびにトリガー価格が上がります、下落した場合はそのままです。
取引に有利な方向へ株価が動くたびに、トリガー価格は自動的に更新されます。
更新時のトリガー価格は、設定したトレール金額またはトレール比率に基づいて計算されます。
取引に有利な方向に動いてかつ、トレール金額 / 比率の条件を満たさない限り、トリガー価格は更新されません。
トレールストップ(指値)注文の仕組みと使い方
トレールストップ(指値)注文は、株価が自動的に更新されるトリガー価格に到達したときに、あらかじめ指定した指値注文が発動する仕組みです。
注文時には「トレール種類」を金額/比率で選択し、「トレール金額」または「トレール比率」を設定します。
トレールストップ(指値)の場合は、更新されたトリガー価格に到達した際に発動する指値価格を設定するため、「指定価格差(0以上)」も入力します。
買いのトレールストップ(指値)
株価が下落するたびにトリガー価格が下がるため、株価下落の最中に、反発の兆しをとらえて自動で買い注文を出したい、直近の安値を確認してからエントリーのタイミングを計りたい(指値)といった場合に戦略的に機能します。
■注文事例
株価100ドルの時に「トレール比率:10%、指定価格差0.5ドル」で買いのトレールストップ注文を出したとします。

■初期トリガー価格
比率選択時の初期トリガー価格の計算(買い方向):
初期トリガー価格=発注時の株価×(1+トレール比率)
初期トリガー価格=100×(1+10%)=110ドル
■株価が下落した場合のトリガー価格の更新
発注後、株価が80ドルまで下落したとします。それ以降も下がらない場合(下落地点から反発した場合)、トリガー価格が更新されます。
更新後のトリガー価格=発注後の最安値×(1+トレール比率)
更新後のトリガー価格=80+(80 × 10%)=88ドルに引き下げられます。
■株価が反発し、トリガー価格に到達した場合
株価がトリガー価格88ドルに到達したタイミングでトリガー条件を満たします。トリガー価格に達したとき、「指定価格差」を加えた指値注文が出されます。
買付価格=トリガー価格+指定価格差
88+0.5=88.5ドルの指値注文が発注。
株価が指値に届かないと、約定はしません。

売りのトレールストップ(指値)
株価が上昇するたびにトリガー価格が上がるため、利益を確保しつつ、さらなる上昇を狙いたい局面(例:決算前の一部利確や、下落リスクへの備え)で特に相性が良いです。
■注文事例
株価100ドルの時に「トレール金額:10ドル、指定価格差0.5ドル」で売りのトレールストップ注文を出したとします。

■初期トリガー価格
金額選択時の初期トリガー価格の計算(売り方向):
初期トリガー価格=発注時の株価 - トレール金額
初期トリガー価格=100−10=90ドル
■株価が上昇した場合のトリガー価格の更新
発注後、株価が120ドルまで上昇したとします。それ以降上がらない場合(上昇地点から反落した場合)、トリガー価格が更新されます。
更新後のトリガー価格=発注後の最高値−トレール金額
更新後のトリガー価格=120−10=110ドルに引き上げられます。
■株価が反落し、トリガー価格に到達した場合
株価がトリガー価格110ドルに到達したタイミングでトリガー条件を満たします。トリガー価格に達したとき、「指定価格差」を差し引いた指値注文が出されます。
売却価格=トリガー価格−指定価格差
110−0.5=109.5ドルの指値注文が発注。
株価がその指値に届かないと、約定はしません。

トレールストップ(成行)注文の仕組みと活用法
トレールストップ(成行)注文は、株価が自動的に更新されるトリガー価格に到達したときに、成行注文が発動する仕組みです。
注文時には「トレール種類」を金額/比率で選択し、「トレール金額」または「トレール比率」を設定します。
トレールストップ(成行)の場合は、更新されたトリガー価格に到達した時点で即座に成行注文が発動するため、「指定価格差」の設定は不要です。
買いのトレールストップ(成行)
株価が下落するたびにトリガー価格が下がるため、トレンドの反転を確認してから買いたい場合や、急落後の反発局面で自動的にエントリー(成行)したい場合に役立ちます。
成行注文のため、確実に約定しやすい反面、約定価格が予想より高くなる可能性に考慮が必要です。
■ 注文事例
株価100ドルの時に「トレール金額:10ドル」で買いのトレールストップ注文を出したとします。

■ 初期トリガー価格
金額選択時の初期トリガー価格の計算(買い方向):
初期トリガー価格=発注時の株価+トレール金額
初期トリガー価格=時価+100ドル+10ドル=110ドル
■ 株価が下落した場合のトリガー価格の更新
発注後、株価が80ドルまで下落したとします。それ以降も下がらない場合(下落地点から反発した場合)、トリガー価格が更新されます。
更新後のトリガー価格=発注後の最安値+トレール金額
更新後のトリガー価格=80+10=90ドルに引き下げられます
■ 株価が反発し、トリガー価格に到達した場合
株価がトリガー価格90ドルに到達したタイミングでトリガー条件を満たします。このトリガー価格に達したとき、成行注文が出され、即座に約定(価格保証なし)します。

売りのトレールストップ(成行)
株価が上昇するたびにトリガー価格が上がるため、トレンドフォロー型で利益を追いながら、急落にも備える場合に有効です。
成行注文のため、確実に約定しやすい反面、約定価格が予想より低くなる可能性に考慮が必要です。
■ 注文事例
株価100ドルの時に「トレール比率:10%」で売りのトレールストップ注文を出したとします。

■ 初期トリガー価格の計算
比率選択時の初期トリガー価格の計算(売り方向):
初期トリガー価格=発注時の株価×(1−トレール比率)
初期トリガー価格=100ドル×(1−10%)=90ドル
■ 株価が上昇した場合のトリガー価格の更新
発注後、株価が120ドルまで上昇したとします。それ以降上がらない場合(上昇地点から反落した場合)、トリガー価格が更新されます。
更新後のトリガー価格=発注後の最高値×(1−トレール比率)
更新後のトリガー価格=120×(1−10%)=108ドルに引き上げられます
■ 株価が反落し、トリガー価格に到達した場合
株価がトリガー価格108ドルに到達したタイミングでトリガー条件を満たします。このトリガー価格に達したとき、成行注文が出され、即座に約定(価格保証なし)します。
トレールストップ注文の活用ポイント
適切なトレール幅の設定するときに考えるポイント
トレールストップ注文を効果的に活用するためには、適切なトレール幅を設定することが重要です。
トレール金額の場合:一定の金額でトリガー価格が更新されるため、株価のボラティリティや目標利益を考慮した金額設定がポイントになります。
トレール比率の場合:比率の場合、トリガー価格が株価水準に応じて変動するため、高値/安値からの下落/反発を想定した比率を設定するのがポイントになります。

参考:トレード期間別のトレール幅
デイトレード:狭いトレール幅(1~5%)で短期間での利益確定を重視。幅が狭すぎると一時的な変動で不要な決済が発生するリスクもあります。
スイングトレード:中程度のトレール幅(5~10%)に設定し、数日~数週間のトレンドを活かします。
長期投資:広めのトレール幅(8~15%、場合によっては20%) を設定し、大きなトレンドを捉えながら長期的に運用します。
加えて、変動が激しい銘柄(高ボラティリティ銘柄)では、トレール幅を広めに設定し、意図しない約定を防ぐことも検討の余地があります。
トレールストップ注文では、利益を伸ばしながらも、一定の下落幅は許容する設定が重要です。設定するトレール幅は、銘柄の特性や市場環境に応じて柔軟に見極めましょう。
いかがでしたか?
これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報

