新規株式公開(IPO)から見る米国株式市場の魅力

05/19 07:29

世界IPO市場、2021年にピーク到達

2021年、世界のIPO市場は過去最高の活況を迎え、件数・調達額ともにピークとなりました。コンサルティング大手のErnst & Young(EY)の「EY Global IPO Trend」によると、2021年のIPO件数と調達額は前年度を大きく上回り、特にIT、ヘルスケア、資本財セクターが主力となりました。これら上位3セクターのIPOが全体の約6割の調達金額を占める結果となりました。また、この時期にはSPAC(特別買収目的会社)によるIPOも急増し、2021年のSPAC IPOの実績は前年比136%増の646社にのぼり、調達金額は97%増の1,611億ドルでした。SPACを使ったIPOスキームは、有力企業との合併を目的とした「空箱」会社がまず上場し、その後、合併先企業が上場企業の地位を得るというもので、従来の上場手法に比べて企業にとって容易なIPOの選択肢として注目を集めました。

2021年のIPO市場の活況は、感染症ワクチンの普及が進み、経済回復を支援するためにFRBや各国が量的緩和政策を進めた影響が大きかったとされています。その結果、大量の資金が株式市場に流入し、世界のIPO活動も盛り上がりを見せました。しかし、2022年以降は市場が冷え込み、IPO件数と調達額は共に減少傾向にあります。

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米IPO市場の盛況とSPACブーム終焉

2021年には、世界だけでなく米国でもIPO市場が顕著な成長を遂げました。EYのデータによると、米国のIPO件数は前年から大幅に増加し、528社と過去最高を記録。調達金額も1,746億ドルに達しました。特にIT、ヘルスケア、資本財セクターがIPO活動を支え、全体の約6割を占めました。また、SPACを利用したIPOも急増し、2021年の世界のSPAC IPOの9割以上が米国(NYSEとナスダック)で行われました。

米IPO市場は2017年から2021年にかけて急成長し、その背景には米国株式市場の好調、FRBの金融緩和、財政支出、そしてSPAC上場スキームの拡大がありました。しかし、2022年に入ると株式市場の下落に伴い、新興企業の上場意欲が低下。SPACによるIPOも減速し、同年7月には著名投資家でアクティビストでもあるビル・アックマン氏率いるSPACが、調達した40億ドルを投資家に返還しました。この出来事が、SPACブームの終焉を象徴しています。

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米IPO市場の現状と新興企業への期待

EYの報告によると、2021年にピークを迎えた米国のIPOの件数と資金調達額は、2022年、2023年に大きく失速し、米IPO市場をけん引してきたSPACも大幅に減少しました。2024年の上半期は、世界のIPO市場が依然として冷え込んでいるのに対して、米国のIPO市場には復調の兆しが見てとれます。

直近話題となった米IPO(2019年~2023年)

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IPOを果たしたこれらの米国の新興企業は、上場からの期間が比較的短く、新たなテクノロジーの形態を伴っているものの、未知数な部分も多いため、積極的に投資するにはリスクも伴います。同じ規模感の競合が出やすく、必ずしも優位性があるとは言えないビジネスや、一過性のトレンドに迎合しすぎて成長の時流を逃す企業も少なくありません。また、将来の成長が期待されるものの、まだ不確実性の高い企業も多く、IPO銘柄の特性はさまざまです。

一方で、米国のイノベーション企業の代表格であるマグニフィセント7も、上場当初は小規模なうちに投資を受けて成長してきたことを考えると、市場が停滞している時こそIPO企業への投資の好機となるかもしれません。ITバブル前後(90年代~00年代初頭)に上場したNVIDIA $エヌビディア (NVDA.US)$GOOGL $アルファベット クラスA (GOOGL.US)$AMAZON $アマゾン・ドットコム (AMZN.US)$ などの企業は、経済の低迷期を乗り越え成長を遂げてきました。

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最新IPOの動向と生成AI:アーム

2023年9月にIPOを果たしたARM $アーム・ホールディングス (ARM.US)$ は、生成AI需要の増加を追い風に、米国株式市場で注目を集めています。同社はスマートフォンやデータセンター向けの省電力型半導体設計で知られており、生成AIや機械学習の計算需要が高まる中、そのプロセッサ技術の重要性が一層高まると期待されています。アームの上場は生成AIの普及を背景に、次世代AI基盤を支える企業への関心が高まっていることを示しており、新たなIPOブームを引き起こす可能性期待されています。

現在、アームのチップはAppleのiPhoneやMicrosoftのPCにも採用されています。AppleはiPhone 16に最新のARMアーキテクチャ「V9」を採用し、独自のAI機能「Apple intelligence」を強化。また、Microsoftも新しい「Copilot+ PC」シリーズでARMベースのチップを採用し、AI機能のローカル実行が可能な環境を提供しています。

このようなARMアーキテクチャの普及は、長年x86アーキテクチャを支配してきたIntel $インテル (INTC.US)$ にとって新たな競争をもたらしました。特に、Apple $アップル (AAPL.US)$ がMacシリーズに自社設計のARMベースMシリーズチップを導入し、Microsoft $マイクロソフト (MSFT.US)$ もARMベースのPCを展開することで、Intelが長らく築いてきた市場シェアが影響を受けています。こうした変化により、Intelの株価にも影響が見られ、AI需要に応じた省電力設計を提供するARMの省電力設計はスマホやPC市場における競争構図を変えつつあります。今後、AI需要に応じた成長が期待されるARMが、マグニフィセントセブンに肩を並べる存在へと成長するか、注目されます。

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出典:Ernst & Young、moomoo

(作成日:2024年11月15日)

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報

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世界IPO市場、2021年にピーク到達
米IPO市場の盛況とSPACブーム終焉
米IPO市場の現状と新興企業への期待
最新IPOの動向と生成AI:アーム