起業家精神で見る米国株式市場の魅力
日米GDP規模でみる両国経済の消長
インターネットの黎明期だった2003年以降、日米の名目GDP推移を比較すると、その差は一目瞭然です。
日本の名目GDPは2021年までの18年間の間、ほぼ変わらずに推移してきましたが、同じ期間に米国の名目GDPは約2倍成長しました。株式市場の時価総額ベースの推移を見ても、日本の株式市場は3兆1582億ドルから6兆6197億ドルへ約2倍の拡大にとどまったことに対し、同期間の米国株式市場は13.5兆ドルから53.8兆ドルへと約3.98倍拡大しました。

日米の経済成長格差、そして、米名目GDPの拡大ペースを大きく上回る米株式市場時価総額の拡大の根底には、米国の起業家精神が大きく関わっているといわれます。米国で数多く育まれてきたスタートアップ、そしてそこから生まれるユニコーン企業などがこれを代表しているものといえるでしょう。
ベンチャーキャピタル投資 が米スタートアップ の拡大を後押し
アメリカでは、1979年の法改正により、リスクの高い資産運用にも年金資産が 投入されるようになり、ベンチャーキャピタル(VC、以下VC) によるスタートアップへの投資が加速しました。
米調査会社ピッチブックと全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)の調査によると、2021年米国VCによるスタートアップへの投資額が3328.1億ドル、投資企業数は14,411社と、いずれも過去最高となりました。
2004年時点では、VCによる投資金額217.4億ドル、企業数2,467社だったことを踏まえると、17年間で米VCによる投資規模や企業数はそれぞれ15.3倍、5.8倍に拡大した計算です。
また、2021年のVCによる投資額を国別で比較すると、全体の6割以上を占める米国の3761億ドルを筆頭に、中国の611億ドル、インドの477億ドルが続きました。因みに、11位の日本(35億ドル)は米国の1%にも届きませんでした。

スタートアップからユニコーンへ
VCによるスタートアップ企業への投資は加速し、結果的に米国では数多くのユニコーン企業が誕生しました。
調査会社CBインサイツのまとめによると、2017年には269社、2018年には385社、2019年には491社、2020年には563社、2021年には832社と順調な増加を見せたユニコーンは、今年2月初め、グローバルで1000社を突破しました。2021年末時点の世界のユニコーン企業のうち、米国企業は488社、中国企業は170社と存在感を示す一方で、日本のユニコーンは僅か6社にとどまりました。

CBインサイツ社が まとめた世界ユニコーンベスト10(2022年10月時点)の内訳をみると、米国のユニコーン5社がランクインしました。世界初となる民間人の宇宙旅行を成功させたSpaceX社(1003億ドル)が2位のヘクトコーンとして輝いたほか、4位にはオンライン決済サービス大手のアメリカのStripe社(950億ドル)、5位にはオンラインゲーム「フォートナイト」の開発で知られる Epic Games社(420億円)などが続きました。

一介のスタートアップ から世界に冠たるGAFAMへ変貌
米カウボーイ・ベンチャーズの創業者アイリーン・リー氏 が2013年、ユニコーン(非上場で評価額が10億ドル以上の企業)という概念を提唱した当時、その基準を満たしていた企業はわずか39社にとどまりました。現在GAFAMとして名を馳せているAlphabet社(グーグル)、Meta Platforms社(Facebook)、SNSの雄であるX社(Twitter)も、かつてはユニコーンの一角に連ねていました。
また、CBインサイツ社がまとめた世界ユニコーン1208社の業種分布図(2023年1月時点 )をみますと、フィンテック関連は254社、インターネットソフトウェア・サービス関連は229社、 D2C(Direct-to-Consumer)のEコマースは108社、AI(人工知能)は90社と、いわゆるテクノロジー関連企業が681社を数え、実にユニコーンの4社に3社を占める計算です。

スタートアップからユニコーンへ、そして一介の起業家から世界動向を左右するグロバール経営者へ――。
起業家精神に富んだ米国のスタートアップやユニコーンからは、今後も新たな産業が産声をあげ、米国株式市場拡大の担い手としての存在感はますます増していくとみられます。
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