パワー半導体の未来展望:市場動向と注目すべき日本の関連銘柄一覧

2025/08/19 18:49

円安は、輸出関連企業やインバウンド需要に恵まれる業界にとって追い風ですが、中東情勢の不透明さは市場の懸念材料となっています。

特に注目されるのは半導体業界で、AI技術への関心が集まっていることは既に公知の事実です。しかし、大手の半導体関連企業間の激しい競争が続いており、どの企業がリードするかを予測することは難しい状況です。

一方で、パワー半導体の分野では実績を上げている企業が少なく、投資の観点から見ると、有望な銘柄を探る余地があるかもしれません。興味のある方は、ぜひ記事をさらに読み進めてください。

「パワー半導体」とはなんでしょうか?

日本最大級の公的研究機関である産業技術総合研究所(以下、「産総研」)によりますと、「パワー半導体」とは、「電力変換器を構成する最も重要な半導体デバイスの総称」と専門的に説明してありました。もう少しわかりやすく説明すると、次のような用途の半導体素子です。

・直流を交流に変換する「インバータ」

・逆に交流を直流に変換する「コンバータ」または「整流器」 

・電圧を変える「レギュレータ」 または「電圧変換機」

・周波数を変える「周波数変換器」

テレビやパソコン、家電製品に欠かせないパワー半導体は、交流を直流に変換する役割を担っています。インバータやレギュレータが、内部回路の電力を管理し、洗濯機のような複雑な動作を可能にしています。また、自動車産業でもパワー半導体の使用は不可欠です。(参考:国立研究開発法人、「産業技術総合研究所」 )

パソコンで計算、判断する素子は、CPU(中央演算処理装置)、データを記録をするのはDRAMと呼ばれるICでいずれもデジタル半導体です。他方、音声信号などを扱うアナログ半導体もあります。いずれにしてもスマホ、腕時計に使われるほとんどの一般的なIC(沢山のトランジスタ等の複雑な回路を内蔵した集積回路)と呼ばれる半導体は、消費する電力を小さくし、素子のサイズをいかに小さくするかが製品の魅力と競争力を左右します。

CPU、メモリー素子など一般の半導体素子の原材料は、シリコン(=ケイ素"Si")です。一方で、パワー半導体は大電流、高電圧がかかるのでシリコンとは異なる材料も使われます。材料はSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)やGa203(酸化ガリウム)などで、化合物半導体と呼ばれます。パワー半導体に、大きい電力がかかるのため、発熱があるので、半導体素子のパッケージは大きくなりがちです。

このようにパワー半導体は一般の半導体と大きな違いがあるので、多品種少量生産になりやすいのです。

アメリカと日本の半導体セクターの最新動向

下のチャートは総合的な半導体指数として有名なフィラデルフィア半導体指数です。チャートからお分かりの通り、昨年は冴えない値動きでしたが、2023年の11月に底打ちし、それ以降は上昇傾向が続いています。

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また韓国の電機大手、サムスン電子が4月30日発表した1~3月期連結決算によれば、本業の利益を示す営業利益が前年同期と比べ10.3倍の6兆6060億ウォン(約7500億円)となりました、売上高は同12.8%増の約71兆9156億ウォンでした。

米国株式市場で最も注目されているテーマは、なんといっても生成AI(人口知能)です。生成AIがデータを収集し、文章、画像などを作成し、送り出すには、多数のサーバーを設置する大規模なデータセンターが必要です。サーバーはコンピューターの一種なので、電源部分には、パワー半導体が使われます。

次に日本の株式市場に目を向けてみましょう。冒頭で触れました通り、2024年に入ってからの日本株の上昇は新NISAの影響も見逃せませんが、個別株を業種別に見れば、レーザーテックアドバンテストディスコなどの半導体関連業種の高騰が目立っています。既に日本で大きく報道されている半導体のファウンドリー(受託生産)で世界最大手の台湾企業「TSMC」が、熊本県の菊陽町に日本では初めてとなる巨大な工場を完成させました。

半導体は巨大な工場、多額の資本を必要とします。そのため、過去を振り返ると、半導体の価格が周期的に大きく変動し、それにつれて半導体業界全体の業績が大きく上下してきました。現在は、世界的に半導体業界が上向きになっているように思われます。これらの状況を総合しますと今後しばらくは、半導体関連の銘柄が株式相場の流れをリードし続けそうです。

(出典:moomoo証券、毎日新聞、ブルームバーグ、NHK)

本のパワー半導体業界の現状

下記の表は、2021年のパワー半導体を手掛ける企業名と収益の金額です。この表をみると欧米の会社の収益が大きいように見えます。

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数値の出典:日研トータルソリューションズ

これらの欧米のメーカーはアナログ、デジタル系の半導体など多種多様な半導体を手掛ける総合メーカーです。

そのため一社での収益額が大きく、企業規模も巨大です。

・ オンセミコンダクター

・ STマイクロエレクトロニクス

・ 三菱電機

・ 富士電機

・ ビシェイ・インターテクノロジー

・ ルネサスエレクトロニクス

・ ローム

かつては、日本の大手半導体メーカーは、アナログ半導体、メモリーを含むデジタル半導体、パワー半導体など多くの品種を手掛けていました。しかし、国際的に半導体メーカー間の競争が激化するにつれて、日本の半導体メーカーは各社が得意とする分野だけに力を注ぐようになりました。近年は、あるメーカーはLED(発光ダイオード)だけに特化する、別の会社はパワー半導体を得意とするなど専門分野に特化した半導体メーカーが主流になりつつあります。このような事情から日本ではパワー半導体の高い競争力を持つ、優良なメーカーが多いのです。

下のグラフは、パワー半導体の国別のシェアです。パワー半導体だけに限ってみると日本の企業が健闘している事がわかります。

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注目すべき日本のパワー半導体関連銘柄

日本で上場しているパワー半導体関連銘柄を挙げます。これらの銘柄の中には、自社ではパワー半導体を製造していないもののパワー半導体を使った製品を組み立てているメーカー、パワー半導体の売買をしている商社、さらにパワー半導体に欠かせない原材料を供給している企業も含まれます。

  • 東洋炭素:半導体製造用の坩堝(るつぼ=半導体材料を溶かすための超高温に耐える容器)が主力。その材料となる等方性の炭素から一貫生産し、世界トップクラスのシェア。今後も独自技術を持つ強みが発揮される可能性が高い。日本の主要な評価機関が高い評価を維持しています。

  • 富士電機:重電の大手。パワー半導体の他、多様な自販機、パワエレ機器を手掛ける。海外では火力発電のシステムも。国内外の格付け機関の評価が高い。

  • 三菱電機:総合電機大手。防衛・宇宙関連の他、パワー半導体、FA(生産設備、生産支援)など。

  • TOWA:半導体製造関連装置大手。半導体の周囲を固め、製品化に欠かせない樹脂封止装置が主力。その他の半導体製造、測定装置も。精密金型製作にも強みを発揮。

  • 東京精密:半導体製造装置・計測機器メーカー。半導体のウエハテスト用首位。

  • 三益半導体工業:信越化学から業務を委託され、シリコンウエハ研磨加工を受託。使用済みウエハー再生処理や装置販売も担当。信越化学が完全子会社化目指してTOB実施へ。

  • ルネサス:多種の半導体を設計製造する大手。ルネサスとNECエレが統合。特に自動車の各種制御用の車載マイコンでは世界トップ級のシェアを持つ。

  • 高田工業所:総合プラント中堅。製鉄・石油・化学関連が主力。さらに半導体製造装置向けも提供。

  • ミネベアミツミ:極小の精密ベアリングで世界高シェア。電気部品メーカーのミツミと統合で新分野開拓に期待がかかる

  • サンケン電気:パワー半導体とそれを応用したスイッチング電源が主力。通信・民生用電源を展開。さらに自動車と家電向けを用途拡大。格付け機関の評価が高い。

以上は、今後も期待できそうなパワー半導体関連の銘柄です。半導体関連は業績が良く、株価が堅調な企業が多いです。パワー半導体を始めとして、半導体関連の業種の多くは堅調です。ただ、パワー半導体、車載用の製品は、EV(電気自働車)の売れ行きなど市場状況に注意が必要です。

パワー半導体についてよくあるご質問

Q:パワー半導体の世界のシェアで日本は何位ですか?

A:1位です。(2021年の総理府発表のデータによる)

Q:日本のパワー半導体のトップシェアメーカーは?

A:三菱電機です。(2021年の実績データによります。ただし、これまでも半導体メーカーは合併などにより、企業規模、シェアが大きく変動した場合が多いので、ご参考に留めてください。)

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。こちらの投資情報は説明目的の用途でのみ提供されており、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。 詳細情報

目次
「パワー半導体」とはなんでしょうか?
アメリカと日本の半導体セクターの最新動向
日本のパワー半導体業界の現状
注目すべき日本のパワー半導体関連銘柄
パワー半導体についてよくあるご質問