【プレビュー】4月の米CPI 今夜発表予定　大幅に市場予想を下回るとモルガンSは見込み

米労働統計局が5月15日水曜日の21時30分（日本時間）に米4月消費者物価指数（CPI）を発表する予定。

市場では、4月CPIは前年同月比3.4％（前値3.5％増）、コアCPIは3.6％増（前値3.8％増）と予想される。今回、CPI指数の約3分の1、PCE価格指数の約6分の1の比重を占める住宅インフレは、インフレ全体に大きな影響を及ぼすとして市場に注目されている。

3日に発表された４月の米雇用統計では、労働市場の減速が示された。そうした中、15日に発表される4月の消費者物価指数（CPI）は米経済の状況に関する新たな手掛かりを与える。

専門家たちの観点
モルガン・スタンレーのチーフ・エコノミスト、Seth Carpenter氏は、住宅インフレはコアCPIの40％、コアPCEの18％を占めており、住宅インフレがどうであれ、CPIデータ全体がそれに追随する可能性が高いと指摘した。

同氏は、現在の家賃データは非常に弱く、昨年の移民の急増にもかかわらず、集合住宅の空室は歴史的な高水準に近づいており、住宅インフレは下降傾向を示しており、水曜日の米消費者物価指数は「予想より大幅に低い」だろうと主張している。

また、同氏は季節調整のため、第1四半期のインフレ率は実態より高く、後日修正されることになると予想した。

スタンダード・チャータード銀行のアナリストもこの見方に同調した。 同行のアナリストは、住宅インフレ率がすぐに低下し、コアインフレ率を引き下げる可能性があると見ている。

家賃、FRBの脱インフレへのラスト・ステップ
ウォール・ストリート・ジャーナルのNick Timiraos氏は、高い家賃がFRBのインフレ対策の妨げになっていると指摘している。 住宅インフレはCPI指数の3分の1、PCE価格指数の6分の1という高いウェイトを占めているため、インフレ全体に大きな影響を与えると記事で説明している。 住宅価格は投資要因に左右され、家賃は市場の実勢をより反映するため、後者は前者よりも重要である。

同氏は、大流行の最中の賃貸料の高騰がインフレ率を大きく押し上げたと述べている。 家賃のインフレ率はまだ高い水準にあるが、下降傾向にある。スタンダード・チャータードのチーフFXストラテジストであるSteven Englander氏は、最近発表したレポートで同様の見解を示している。

同氏によれば、住宅コスト、特にCPIの住宅インフレの相関指標である持ち家相当家賃（OER）を詳細に見れば、住宅インフレがすぐにでも低下し、コアインフレ率を引き下げる可能性があると楽観視する理由があるという。

一方、多くのエコノミストは、ここ数年の新規賃貸賃料の下落傾向は、住宅インフレを確かに冷え込ませるが、このプロセスは思ったより時間がかかると考えている。

Timiraos 氏は、高金利の影響で住宅購入意欲が低下している人が増えているため、賃貸契約更新の需要が高まっていると指摘した。 このため、新規賃貸賃料の下落がヘッドラインインフレ率に反映されるまでの時間が長くなる可能性がある同氏は述べている。

4月、原油価格はピーク
4月の平均原油スポット価格は88.01ドルと、前月の83.55ドル、1年前の82.46ドルから上昇した。これは先月から5.35%、1年前から6.73%の変化である。

しかし、需要側の不透明感が相場の重荷となっているため、原油価格は4月上旬から下落を続けている。夏のドライブシーズンを前に、米国のガソリンと蒸溜油の在庫が増加し、需要の弱さを示した。

4月の食料価格は小幅上昇
国連食糧農業機関（FAO）の4月の食料価格指数は119.1ポイントとなり、3月の改定値から0.3ポイント（0.3％）上昇した。肉の価格指数が上昇し、植物油と穀物の価格指数がわずかに上昇し、砂糖と乳製品の価格指数の下落を上回ったためである。4月の物価指数は、7ヶ月続いた低下傾向の後、2ヶ月目の上昇を記録し、1年前の対応値から9.6ポイント（7.4％）低下した。

利下げ観測
CMEグループのFedWatchツールによると、FF金利先物のトレーダーは一時、9月までに利下げが実施される確率を81.53％、12月までに利下げが実施される確率を100％とみていた。