大手商社は増配・自社株買いで“大還元祭”! バフェット氏も「満足」、資源依存度で明暗も 上値を狙えるのは?【5大商社決算まとめ】
5大商社の24年3月期連結決算は、資源価格下落による影響などで4社が減益となった。25年3月期については非資源事業が強い $伊藤忠商事(8001.JP$など3社が増益を予想する一方、 $三菱商事(8058.JP$など2社が減益を予想し、明暗が分かれた。ただ、全社とも株主還元への積極姿勢をむしろ強めており、5社の配当と自社株買いを合わせた総還元額は過去最高となる1.9兆円に上った。一部でアクティビスト・ファンドによる投資が影響した可能性もある。
5社の発行済み株式の約9%を保有する米投資会社 $バークシャー・ハサウェイ(BRK.A.US$の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は今月4日の同社年次株主総会で、日本の商社への投資について「非常に満足している」(時事通信)と述べた。以前に同氏は最大9.9%まで保有することを示唆しており、追加投資の余地はまだ残されている。上値余地のある商社はどこか。各社の発表内容のポイント、株価の現在地と決算を受けたレーティングを確認した。
24年3月期連結業績と25年3月期会社予想
<概況>
▼直近配当利回りは三井物産を除く4社はいずれも足元で3%前後。(10日時点)
▼現在株価(10日)は、5社ともアナリスト平均株価との乖離は大きくないが、決算を受けて急落した三菱商事の目標株価までの乖離が5社中では最も大きくなった。
▼各社は資源価格の乱高下による影響を軽減するため、安定した収益が見込める食品や機械など非資源分野に注力している。こうした分野の収益力がポイントに!
▼直近配当利回りは三井物産を除く4社はいずれも足元で3%前後。(10日時点)
▼現在株価(10日)は、5社ともアナリスト平均株価との乖離は大きくないが、決算を受けて急落した三菱商事の目標株価までの乖離が5社中では最も大きくなった。
▼各社は資源価格の乱高下による影響を軽減するため、安定した収益が見込める食品や機械など非資源分野に注力している。こうした分野の収益力がポイントに!
25年3月期の弱い見通しで失望売り。押し目になる?
◆ $三菱商事(8058.JP$
・24年3月期は、原料炭価格振るわず、連結純利益は18.4%減の9640億円。
・25年3月期の連結純利益は前期比1.5%減の9500億円の見通し。ブルームバーグ市場予想の1兆800億円を下回った。
・今期年間配当予想は1株につき前期から30円増配。累進配当は維持。
・10日終値3385円からアナリストら11人の平均目標株価3572.73円まで5.6%の上昇余地がある。目標株価レンジは2800~4500円。
・税前直近配当利回りは2.95%。
◆ $三菱商事(8058.JP$
・24年3月期は、原料炭価格振るわず、連結純利益は18.4%減の9640億円。
・25年3月期の連結純利益は前期比1.5%減の9500億円の見通し。ブルームバーグ市場予想の1兆800億円を下回った。
・今期年間配当予想は1株につき前期から30円増配。累進配当は維持。
・10日終値3385円からアナリストら11人の平均目標株価3572.73円まで5.6%の上昇余地がある。目標株価レンジは2800~4500円。
・税前直近配当利回りは2.95%。
<三菱商事の直近の主なレーティング> 決算発表は5月2日
<三菱商事の売上構成>
資源価格下落が響くが、自社株買い、株式分割は好材料
◆ $三井物産(8031.JP$
・24年3月期は、原料炭の市況下落で減収減益となったが、5社で唯一1兆円台の連結純利益を確保した。
・25年3月期の連結純利益はLNG価格下落などで15.4%減の9000億円の見通し。
・2000億円を上限に自己株式を取得する。
・6月30日を基準日として1株につき2株の株式分割を実施する。
・今期年間配当は分割考慮前で30円引き上げる実質増配を計画。
・10日終値7879円はアナリストら11人の平均目標株価7596.36円を超えた。目標株価レンジは6110~8750円。
・税前直近配当利回りは1.27%。
◆ $三井物産(8031.JP$
・24年3月期は、原料炭の市況下落で減収減益となったが、5社で唯一1兆円台の連結純利益を確保した。
・25年3月期の連結純利益はLNG価格下落などで15.4%減の9000億円の見通し。
・2000億円を上限に自己株式を取得する。
・6月30日を基準日として1株につき2株の株式分割を実施する。
・今期年間配当は分割考慮前で30円引き上げる実質増配を計画。
・10日終値7879円はアナリストら11人の平均目標株価7596.36円を超えた。目標株価レンジは6110~8750円。
・税前直近配当利回りは1.27%。
<三井物産の直近の主なレーティング> 決算発表は5月1日
<三井物産の売上構成>
食品など非資源事業の安定感が圧倒的
◆ $伊藤忠商事(8001.JP$
・24年3月期は石炭価格の下落などが響いたが、Doleなど食品事業を含む非資源事業が堅調で、5社で唯一前期比での増益を確保した。
・25年3月期連結純利益は、前期比9.8%増の8800億円(過去最高)の見通し。市場予想の8475億円を上回った。非資源分野で8割の利益を稼ぐ計画。
・自己株式取得はこれまで8期連続で実施。今年度は過去最大となる自己株取得約1500億円規模を実施する。
・今期年間配当は前期比10円増の120円に増配予想。
・成長に向けた投資額も単年度で過去最大となる1兆円。
・10日終値7260円からアナリストら9人の平均目標株価7383.33円までは1.7%の上昇余地。目標株価レンジは6700~8500円。
・税前直近配当利回りは2.75%。
◆ $伊藤忠商事(8001.JP$
・24年3月期は石炭価格の下落などが響いたが、Doleなど食品事業を含む非資源事業が堅調で、5社で唯一前期比での増益を確保した。
・25年3月期連結純利益は、前期比9.8%増の8800億円(過去最高)の見通し。市場予想の8475億円を上回った。非資源分野で8割の利益を稼ぐ計画。
・自己株式取得はこれまで8期連続で実施。今年度は過去最大となる自己株取得約1500億円規模を実施する。
・今期年間配当は前期比10円増の120円に増配予想。
・成長に向けた投資額も単年度で過去最大となる1兆円。
・10日終値7260円からアナリストら9人の平均目標株価7383.33円までは1.7%の上昇余地。目標株価レンジは6700~8500円。
・税前直近配当利回りは2.75%。
<伊藤忠商事の直近の主なレーティング>決算発表を5月8日
<伊藤忠商事の売上構成>
アクティビストとの対話に注目、輸送機・建機など非資源分野が好調
◆ $住友商事(8053.JP$
・24年3月期は、増収減益。輸送機・建機事業など非資源分野は好調だったが、資源価格下落やマダガスカルのニッケル事業での損失計上が響いた。
・25年3月期の連結純利益は37.2%増の5300億円の見通し。石炭価格下落が響くが、輸送機・建機事業、不動産事業など非資源分野がけん引する。
・500億円の自社株買いを発表。
・PBR(株価純資産倍率)が5社の中で最も低い。
・25年3月期予想配当は前期比5円増配。
・10日終値4243円はアナリストら10人の平均目標株価(4131円)を上回った。目標株価レンジは3480~5200円。
・税前直近配当利回りは3.06%。
◆ $住友商事(8053.JP$
・24年3月期は、増収減益。輸送機・建機事業など非資源分野は好調だったが、資源価格下落やマダガスカルのニッケル事業での損失計上が響いた。
・25年3月期の連結純利益は37.2%増の5300億円の見通し。石炭価格下落が響くが、輸送機・建機事業、不動産事業など非資源分野がけん引する。
・500億円の自社株買いを発表。
・PBR(株価純資産倍率)が5社の中で最も低い。
・25年3月期予想配当は前期比5円増配。
・累進配当制度を初めて導入
・4月末、アクティビストの米エリオット・マネジメントが同社株を数百億円規模で取得したと報じられた。企業価値向上や一段の株主還元拡充などが見込まれている。・10日終値4243円はアナリストら10人の平均目標株価(4131円)を上回った。目標株価レンジは3480~5200円。
・税前直近配当利回りは3.06%。
<住友商事の直近の主なレーティング>
<住友商事の売上構成>決算発表は5月2日
航空機リースなどの非資源分野に成長期待
◆ $丸紅(8002.JP$
・24年3月期は原料炭、エネルギー価格下落が響き、減収減益。ただ、実態純利益(純利益から一過性要因を除いたもの)4670億円のうち7割弱が非資源分野によるものといい、非資源の比重は大きい。
・25年3月期の連結純利益は1.8%増の4800億円の見通し。航空機リースなど非資源分野の利益が伸びる。
・500億円を上限とする自社株買いを発表。市場予想を上回る規模。
・今期年間配当予想は5円増配の90円。
・10日終値3056円は、アナリストら11人の平均目標株価(2934.55円)を上回った。目標株価レンジは2520~3450円。
・税前直近配当利回りは2.95%。
◆ $丸紅(8002.JP$
・24年3月期は原料炭、エネルギー価格下落が響き、減収減益。ただ、実態純利益(純利益から一過性要因を除いたもの)4670億円のうち7割弱が非資源分野によるものといい、非資源の比重は大きい。
・25年3月期の連結純利益は1.8%増の4800億円の見通し。航空機リースなど非資源分野の利益が伸びる。
・500億円を上限とする自社株買いを発表。市場予想を上回る規模。
・今期年間配当予想は5円増配の90円。
・10日終値3056円は、アナリストら11人の平均目標株価(2934.55円)を上回った。目標株価レンジは2520~3450円。
・税前直近配当利回りは2.95%。
<丸紅の直近の主なレーティング>決算発表は5月2日
<丸紅の売上構成>
ーmoomooニュースKathy
出所:日本経済新聞、Bloomberg、各社IR資料、時事通信、moomoo
*直近配当利回りデータはBloomberg
出所:日本経済新聞、Bloomberg、各社IR資料、時事通信、moomoo
*直近配当利回りデータはBloomberg
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