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日本株:2024年上期の相場見通しと注目銘柄(業種)レポート

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このレポートでは、2024年上期の相場見通しと、日本株の注目銘柄(業種)について紹介します。当レポートで取り挙げられる銘柄事例については一切の推奨や売買指南を示しません。2024年相場で日米で起こり得る状況を踏まえ、影響がありそうな業種やその理由に着目していただければ幸いです。
■米国市場の見通し
<波乱を生む4年に1度の大統領選挙>
米国株の動向はそのまま日本株にも波及します。
特に注目されるのが、今年11月5日に行われる米国大統領選挙です。
S&P 500を中心に、米国大統領選の年は株高になりやすいデータが揃っています。
近年でも2016年のトランプ大統領当選時、2020年のバイデン大統領当選時、いずれもその後大きく株高となっています。
引用 三井住友DSアセットマネジメント
引用 三井住友DSアセットマネジメント
ただし、その途中には波乱も発生しています。
2016年は6月に予想外のイギリスEU離脱によるショック、2020年は3月の新型コロナパンデミックにより株式市場は大暴落しました。
また、選挙の直前である9月~10月は、リスク回避の動きから株式市場が不安定化しやすいです。
2024年は年初から3月まで株高が続いたからこそ、悪材料が出た時の下落余地も大きいです。
大統領選挙までに何かしらの乱高下はあって然るべきと想定しましょう。
<インフレを再発しかねない利下げ>
米国株のもう1つの重要トピックとして、利下げが挙げられます。
3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では年内3回の利下げ見通しが示されました。
2024年上期のFOMCは、4月30日・5月1日、6月11日・6月12日が残されています。
理論上、利下げは株高を呼びます。ただし、現在の市場はすでにそれを織り込んで先に上昇している側面が強く、いざ利下げが現実となる頃には材料出尽くしによる売りに気をつけないといけません。特に、CPI(消費者物価指数)が適正ラインと言われる前年比2%台にまで落ちず、まだまだ物価高な状態でなぜFRBは利下げしようとするのか?
これは著者の推測ですが、物価高・株高が進む中で急速に足元の経済環境が悪化しているからです。
物価は上がるのに景気は悪い=スタグフレーションを防ぐために、早い段階での利下げを検討していると思われます。そして、経済悪化は企業の将来的な利益を低下させますので、それが表面化した際は、先行き不安から株安を招く可能性があります。
ただし、物価上昇が十分に落ち着いていない中で利下げを行えば、長期で見てインフレを再誘発する危険性があります。そうなると、更なる物価高+高金利の状態が続いてしまい、それを追い風にできる業種・銘柄を選ぶ必要が出てくるでしょう。
引用:NHKニュース
引用:NHKニュース
■日本株の見通し
<1年の成否を占う5月決算>
2024年日本株の大きな節目として、5月の決算シーズンが挙げられます。
日経平均株価に採用されるような大型株の多くが、5月に本決算発表となり、1年間の業績とともに「翌年の見通し」が発表されます。
2023年は過去最高益を更新する企業が続出する中で、翌年はその最高益が高いハードルとなってきます。
もしそのハードルに対して見通しが悪化すれば、少なからず株価は上値が重くなったり、下落する要因になるでしょう。
実際、2021年5月にも同じようなことがありました。当時は、新型コロナで経済が落ち込んでから企業業績がV字回復した中でしたが、決算内容が評価されず日本株の下落が相次ぎました。
当時の9984 ソフトバンクグループや6594 日本電産(現ニデック)など、絶好調だった銘柄が軒並み急落し、数年来の低迷につながっています。
今年の日本株も3月まで大きく上昇したからこそ、5月の決算は例年以上に神経質になりたいところです。
<円安によってかさ増しされた企業利益>
また、昨今の日本株高は円安による影響がやはり大きいです。
日経平均株価採用企業の平均EPS(1株利益)を見ますと、年々上昇して2300円台になっています。
2020年が約2000円程度でしたから、15%ほど企業業績が上がったことになります。
日経平均EPSの推移(引用)
日経平均EPSの推移(引用)
しかしこれをドル建てで見ると景色が変わります。
2020年6月時点でのドル換算での日経平均EPSは18ドル。当時の為替レートは1ドル=109円(20年6月1日)でした。一方、2024年3月現在の同EPSはドル換算でおよそ15ドル~16ドルです。
円ベースで上がっていても、ドル換算ではむしろ低下しています。150円を超える円安によって日本円ベースではEPSが押し上げられているのです。個別銘柄によって変わるものの、外貨で見た日本企業の利益は横ばいか低迷しているのに、通貨安によって円ベースで見ると上がっているのです。
仮に、これ以上円安が進まなかったり、円高方向に転じたりすることがあれば、今のような押し上げ効果は低下するでしょう。これらの点を踏まえ、今後日本株に投資していくにあたっては、
・世界的なインフレ・金利高に強い
・かつ為替レートに関係なく収益が改善していく
上記のような企業(業種)に絞って投資していく必要があると考えています。
■日本株における注目株(業種)
①銀行
中長期で見ても銀行株はメインの日本株の1つとして考えたいです。
・銀行業に追い風となる利上げが継続しそうな点
・新NISAにより国民のお金が積極的に投資に流れている点
・中国からグローバル資本が逃げ、相対的に日本の金融が存在感を高めている点
・通貨安により企業業績が向上している点
以上のような状況から、銀行株にとってはかつてないほどの良好な環境が整っています。
銀行のビジネスで見ても、近年の株高によって運用収益が改善し、店舗の統廃合を進めて利益の効率化が進んでいます。
また、2024年2月時点で銀行業全体の平均PERは9.3倍。PBRが1倍割れするような銘柄も多数あるような状況で、他の業種と比べて理論上の株価上昇余地が大きいです。
円安と世界的な物価高トレンドによりデフレを脱却してインフレ時代に突入した日本。
今年3月には、日銀が8年続けたマイナス金利政策を解除しました。これが、銀行業における利ざやの改善期待となります。
銀行株の注意点としては、すでに株価が大きく上がっているため、以前のような割安バリューな高配当銘柄としては扱えないでしょう。
バリュー株ではなく、業績の成長に伴うグロース株として見方を変える必要があると思います。
グロース株ですので、値動きの幅は大きいです。市場の悪化時には、高値から20%~30%は平気で落ちると思います。ただ、中長期では銀行業には追い風の環境が整っていますので、そういった場面こそ、ボラティリティの大きさを覚悟しながら拾っていくことが必要です。
代表例としては3大メガバンク
$三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.JP)$ $三井住友フィナンシャルグループ(8316.JP)$ $みずほフィナンシャルグループ(8411.JP)$)が挙げられますが、相対的に割安な地方銀行株(以下地銀株)も見逃せません。
地域密着で成長性が低いと見られがちな地銀株ですが、ビジネスを展開している地域によってはまだまだ人口増加や商圏拡大が見込める地銀もあります。
例えば、2040年まで人口増加が見込まれる福岡市に本拠地を置く $ふくおかフィナンシャルグループ(8354.JP)$
国内は九州を中心に469拠点、海外はアジアを中心に8拠点展開しながら、地銀の総資産では日本で2位の規模を誇ります。
また、日本国内初のデジタルバンクである「みんなの銀行」を有するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を先んじて推進しています。
配当は2024年3月期時点で3期連続で増配予定であり、新型コロナ禍の2020年度も減配することはありませんでした。2024年以降は、ROE(自己資本利益率)を8%に上げる中長期目標を立てており、収益性の改善や自社株買いなど株主還元策が期待されます。
引用 moomoo証券
引用 moomoo証券
②インフラ更新(金属・建設)
業種が複数にまたがるものの、日本のインフラ更新は中長期の重大テーマとなっています。
1960年代からの高度経済成長期に建設された道路や橋梁、水道管。
国土交通省の集計では、2020年時点で建設から50年以上経過したインフラが30%を占めかつ今後更に上昇傾向となり、補修・整備が急務となっています。
引用 国土交通省HP
引用 国土交通省HP
人口減少時代において、これまでのように日本の隅々までインフラを整えるのは合理的ではありません。
しかし、それでも主要都市を中心に必要なインフラ更新は多くあり資材価格の高騰などで工事単価が上がっても、必要経費としてお金を使わざるを得ません。
その取引相手も官公庁や地方公共団体となるため、収益が安定しています。
また、これらの補修・建設を担う会社の株はPBRが1倍割れするなど、バリューな高配当株が多いです。
代表例として注目したいのが、 $宮地エンジニアリンググループ(3431.JP)$です。
橋梁建設と保全に特化したエンジニアリング会社である同社は、橋梁や鉄骨などの調査、設計、製作、架設、補修の請負業務を手掛けています。また、PCコンクリートの生産、構造物の組立も行っています。
同社の事業範囲は幅広く、
・道路橋や鉄道橋の設計・施工・監理
・高速道路や新幹線などの大規模な更新や修繕工事の保全・補修
・鉄塔や大空間・特殊構造物、沿岸構造物の建築
など、多岐にわたります。
特に強みのある橋梁工事分野においては、東京ゲートブリッジ、来島海峡大橋、明石海峡大橋、東京湾アクアラインなど、日本を代表する大規模プロジェクトに参加してきた実績があります。
2026年までの中長期経営計画を発表しており、一定の資本拡充を図りつつ、成長投資にも資金を充てる計画が示されています。
具体的には、期間内のEBITDA(利払い前税引き前償却前利益)を約400億円と見込み、この収益をもとに成長投資には約180~200億円を割り当てる予定です。残りは総還元性向を60%と定め、これを目安に還元の維持・拡大を図る方針です。
引用 宮地エンジニアリングHP 中長期経営計画より
引用 宮地エンジニアリングHP 中長期経営計画より
③鉄鋼
世界的なインフレトレンドにおいては、特にコモディティに強力にお金が流れます。鉄鋼もその1つに含まれます。
鉄鋼は市場価格に左右されやすいものの、価格が強烈に上昇すればその恩恵を受けやすいです。
鉄鋼業全体で見ても、世界中でインフラや建物などの建設需要が増大しています。特に、人口増加だけでなくグローバル企業が中国市場から撤退し、サプライチェーンの再構築が進んでいる事情もあります。
そんな鉄鋼業界の代表例として注目したいのが、 $日本製鉄(5401.JP)$です。
日本で最大手の鉄鋼メーカーであり、世界でも第3位に位置しています。
製鉄業を中心に条鋼、鋼板、鋼管、交通産業機器品、特殊鋼、鋼材の二次製品、銑鉄・鋼塊、チタンなどの生産を行っており、粗鋼生産量で世界4位の実績を持ちます。
総資産10兆円・東京ドーム1700個分に相当する広大な製鉄所を抱えていますが、それが鉄の供給過剰にもつながり、2020年3月期には過去最大となる4315億円の最終赤字を計上しました。
その後の経営戦略の見直しにより、15基あった高炉数を10基まで減らしてコスト削減を図りました。それと引き換えに超ハイテン鋼板、電磁鋼板、高耐食性シームレス鋼管、高圧水素用材料などの高級鋼の生産に集中しています。
また、同時にリストラと値上げを断行することで2022年3月期には6373億円の最終利益を計上し2年でV字回復を遂げました。2024年2月には米国の大手鉄USスチールの子会社化を進めるなど、そのビジネスはさらに拡大を続けています。
ただし、直近は需要低下とアジア市場での利益悪化の影響で低迷しています。また、配当に関しては、「連結配当性向年間30%程度を目安」としており、業績に応じてアップダウンが予想されるため注意が必要です。
$日本製鉄(5401.JP)$月足チャート
引用 moomoo証券
引用 moomoo証券
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