人型ロボットの夜明けとAIによる革新！恩恵を受けそうな銘柄は？

人工知能（AI）の発展は、人型ロボット産業に革命的な変化をもたらすと期待されている。エンドツーエンドの AIは、従来のルールベースの制御とは全く異なり、これは、ソフトウェア・エンジニアが事前に設定したルールではなく、AIが生成したルールの下で、ソフトウェア・システム自体が、最初のコマンドやシナリオから最終的な出力までタスクを実行できることを意味する。今年2月、 $マイクロソフト(MSFT.US)$、オープンＡＩ、 $エヌビディア(NVDA.US)$が、世界の労働市場の変革を目指す米シリコンバレーの新興ロボット会社FigureAIに出資した。Figure AIは、AI搭載の労働現場向け人型ロボットを開発している。

人型ロボットのサプライチェーンの広がりに伴い、様々な分野で利益と潜在的な成長力が高まっている。エレクトロニクス大手からソフトウェア企業まで、投資家はこうしたロボットの台頭に投資チャンスを見出すだろう。

人型ロボットは現代工学の奇跡であり、動作のためのアクチュエータ、環境との相互作用のためのセンサー、意思決定のための高度な制御システム、信頼性の高い電力供給、処理のための高度なチップ、操作のための最先端のソフトウェア、周囲の世界と相互作用するための通信システムなど、多様な部品を必要とする。各部品は非常に重要であり、製造精度がロボットの性能を左右する。

１）チップ： チップは人型ロボットの頭脳であり、メインチップ、MCUチップ、通信チップが含まれる。 $エヌビディア(NVDA.US)$のJetsonシリーズは、AIコンピューティングと機械学習用に設計されており、複雑な処理能力を必要とする人型ロボットによく使われる。 $テキサス インスツルメンツ(TXN.US)$のプロセッサーとマイクロコントローラーは、人型ロボットの制御システムに使用される可能性がある。通信チップでは、 $クアルコム(QCOM.US)$がワイヤレス接続用の通信チップとモジュールを提供している。

2）モーターとバッテリー：モーターは総コストの約10％を占める。日本メーカーはロボット工学分野での専門知識で有名だ。主なメーカーでは、 $安川電機(6506.JP)$と $ファナック(6954.JP)$がサーボモータとコントローラの主要サプライヤーである。

3）アクチュエータ：ロボットアクチュエータの主なメーカーには、様々なオートメーション製品を提供する $三菱電機(6503.JP)$、アレン・ブラドリーブランドを持つ $ロックウェル オートメーション(ROK.US)$、著名なロボット会社であるABBロボティクスなどがある。

4）センサー：環境と相互作用するために、ロボットは、ライダー、カメラ、力覚センサー、ジャイロスコープなどの様々なセンサーを使用する。主なメーカーには、深度認識や視覚用のカメラモジュールを提供する $ソニーグループ(6758.JP)$や $インテル(INTC.US)$RealSense、磁気センサー、圧力センサー、MEMS（Micro-Electro-Mechanical Systems）センサーなど複数の種類の製品を提供する $INFINEON TECHNOLOGIES AG(IFNNF.US)$が含まれる。

5）ソフトウェア：データ処理、意思決定、機械学習、動作調整を行うオペレーティング・システム、駆動システム、アプリケーションが含まれる。AI時代到来以前は、ソフトウェアがロボットにとって最大のボトルネックだった。

人型ロボット製造の最前線に活躍している企業は世界中に数社あり、それぞれがこの分野に独自の焦点を当て、貢献している。

主要プレイヤーの中では、ボストン・ダイナミクス社が、高度な機動性、バランス、敏捷性を発揮する人型ロボット「Atlas」をはじめとするロボットで広く注目を集めている。

$テスラ(TSLA.US)$も代表企業の一つだ。2023年12月13日、同社はTesla Optimus Bot Gen 2をビデオ形式で披露した。テスラは9カ月前の2023年3月に第1世代製品を発表し、その3カ月後にはエンドツーエンドのAI学習機能を実証しており、同業他社に比べて製品の改良と研究開発のペースがはるかに速いことを示している。

日本のロボットも最前線を走っている。ゴールドマン・サックスのアジア・インダストリアルズ・アナリストによれば、日本のロボットOEMが従来とは異なる用途に向けた様々なソリューションの導入に積極的であることは明らかだという。例えば、 $川崎重工業(7012.JP)$は、災害救助シーンでの使用を想定した人型ロボット「カレイド」のデモを披露した。

人型ロボットの製造コストは大幅に減少しており、昨年は1台あたり5万～25万ドルと見積もられていたが、現在は基礎モデルから高性能モデルまで、3万～15万ドルに急落している。この約40％の削減は、主に、現在入手可能なより安価な部品、研究所の枠を超えた幅広いサプライチェーンの選択、設計と製造プロセスの改善によるものである。このコスト効率は、人型ロボットの商業的普及が加速する可能性を示唆している。