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コーポレートアクション

閲覧数11542024/03/27

株式分割

株式分割とは?

株式分割とは、企業が株式をいくつかに「分割」して、発行済み株式の総数を増やすことです。株式分割によって1株あたりの価格は下がりますが、株主が保有する株式の総価値は変わらないという重要な特徴があります。

例えば、1:2の分割比率であれば、株主が持っている株式数は2倍に増えます。1株あたりの株価(価格)は半減しますが、資産価値は変わりません。株式分割が行われると株式の流動性が高まり、より多くの投資家にとって手が届きやすい株価となります。

株式の分割比率は、1:2、1:4、1:10など、企業の決定によります。分割比率に基づいて株価も変動します。株式分割の結果、株価が下がることによって、必要な最低投資金額が減少します。

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続々と分割が発表されている

2024年に入って株式分割を発表した企業は46社あります。そのうち時価総額が1兆円以上の会社を以下にまとめました。

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JR東日本(東日本旅客鉄道)(9020)が株式分割を行うのは、実に15年ぶりとのことです。

その目的は、「株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、投資家の皆様がより投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ること。」と同社の開示で公表しています。

2024年4月1日付でJR東が株式分割されると、約90万円から30万円水準に最低投資価格が下がる(1:3)わけですから、手が届きやすくなることは確かでしょう。

東証が上場企業に対して、「投資単位を50万円未満に引き下げるよう要請している」背景には、個人投資家がより容易に株式市場に参入できる環境を整えるという狙いがあります。

企業としても、個人投資家が投資しやすい株価に分割することで投資家の層を広げていくことだけでなく、上場基準を満たすために株主を増やすことも意識しているのかもしれません。

株式分割が行われることで最低購入単価は下がるため、その銘柄へ参入しやすくなります。特に新NISAのような制度を利用する個人投資家にとって、株式分割が行われた銘柄は魅力的な投資機会をもたらしているとも考えられます。

株式分割による影響

株式分割によって発行済み株式数が増えると、株式の流動性が向上し取引が活発になります。また、株式分割の発表は市場の関心を集めることが多く、投資家からの注目を浴び、市場での存在感を高める効果も期待できます。すでに株価が高く流動性が低い企業、IPO後しばらく経った企業などが株式分割を行う理由の一つでもあるでしょう。

株式分割後、配当金額に変更がなければ、株主は分割によって増えた株式数に応じて受け取る配当も増加します。これは、株主にとっては実質的な増配(配当の増加)となり、株式分割のメリットと考えられます。

しかし、株式分割は常にポジティブな影響のみをもたらすわけではありません。流動性が高まることによる株価の変動や、株価そのものが下がることに対する企業への信頼性の問題、株主数の増加による企業の事務処理コストの増加など、EPS(1株利益)が下がるなど様々な懸念もあります。

一般的にグッドニュースと好感される傾向にある株式分割ですが、投資家としての株式分割の受け止め方は、常にポジティブに偏るのではなく、メリットとデメリットを総合的に考慮する必要があります。

事例【オリエンタルランド】

東京ディズニーリゾートを運営する、OLC(オリエンタルランド)(4661)は、2023年4月1日付で1:5の株式分割を実施しました。同時に個人投資家に人気の株主優待制度も見直され、「3年以上保有の長期株主向けの制度」が新設されました。過去を振り返ってみるとOLCは2015年4月にも株式分割を実施しています。

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同社の事例では、株式分割を通じて投資家層の拡大や流動性の向上を図りつつ、長期保有株主を顧みた優待制度の見直しを行い、株主に対する長期的な価値提供を目指し、実現してきたことが見てとれます。

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これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。

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