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<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?

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moomooニュース米国株 コラムを発表しました · 04/23 04:22
AIブームの代表格である $エヌビディア(NVDA.US)$ が4月19日に10%も下落し、市場に動揺が走っている。今回は、株価下落につながったトリガーを確認し、相場環境も踏まえながら真の下落要因を考察してみた。今後の注目点も併せて確認しておきたい。
下落のトリガー
エヌビディア株が1日で10%も下落したのは、エヌビディア自身に悪材料が出たわけではない。下落のトリガーは、エヌビディア製AI半導体搭載のサーバーを製造する $スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI.US)$ が業績暫定値の発表を見送り、SMCI株が23%下落したことだ。SMCIはエヌビディア製AI半導体搭載のサーバーを製造・販売しているため、同社の業績動向はエヌビディア製品の販売や需要動向を図る一つのバロメーターとして認識されてきた。

たとえば、SMCIが今年1月19日に2023年10~12月期について好調な業績暫定値を発表した際、AIサーバーやエヌビディア製AI半導体に対する需要の堅調さを示す材料として捉えられた。その日、SMCI株は36%上昇し、エヌビディア株は4%上昇した。その後、SMCIは1月29日の決算発表日に事前の暫定値通り、好決算を発表した。エヌビディアも2月21日に、予想を上回る実績とガイダンスを発表した。
しかし、今回の決算発表を迎えるにあたってSMCIは、通常は決算発表日時公表に伴って公表している暫定値について公表を見送った。前回は好調な暫定値発表だっただけに、公表見送りは業績内容が芳しくない可能性を示すものとして受け止められた。AI半導体に対する需要は期待ほど高くないかもしれないとの憶測も生んだ。おりしも、ASMLやTSMCの決算からは、半導体市場全体の回復には時間がかかることが示され、投資家は悪い解釈の方に傾きやすかった。
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
なお、ASMLとTSMCの決算で投資家が失望したのは、AI半導体分野でははい。両社とも今回の決算説明会で、AI半導体に対する需要は引き続き、好調だと表明した。投資家の期待に添わなかったのは、スマートフォーンやパソコン向け半導体、つまりAI半導体以外の分野の回復が予想以上に遅れる可能性があることだ(※<半導体株、セルインメイの足音?!> TSMC&ASMLの決算からみる下げ要因とAI半導体需要を参照されたい)。
なぜ、SMCIの業績暫定値の発表見送りに投資家がこれほど神経質になっているのか。以下の2つが主な要因と考えられる。
1)利益確定売り圧力の高まり
2)米10年国債利回りの急上昇を受けた投資家のリスク許容度の低下
利益確定売り圧力
エヌビディアとSMCIの株価は、4月19日の下落前までにそれぞれ2023年末の1.7倍、3.3倍になっていた。ある程度、利益確定売り圧力がたまっていたことも容易に想像できよう。それが需給面での売り圧力につながったとみられる。
米10年国債利回りの急上昇を受けた投資家のリスク許容度が低下
投資家のリスクセンチメントに影響を与える要素として、金利水準や金利動向が重要になってくる。足元の相場環境を確認してみると、米政策金利の「Higher for longer」(より高く、より長く)に対する警戒が高まっており、米10年債利回りが急上昇している。過去の事例からすると、その際、株価には下押し圧力がかかりやすい。
たとえば、前回、「Higher for longer」に対する警戒で米10年債利回りが急上昇したのは、2023年7月中旬から10月末までの間だ。その時、投資家はリスク回避姿勢を強め、株式を売り越した。主要指数は調整し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も大きく下落した(グラフでオレンジ色はSOX指数、白色は米10年国債利回り、エヌビディアは緑色のライン)。
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
その間、エヌビディア株も調整した。当時の株価レンジ(400~500ドル)における最大の下落率は約20%だった。その後、2023年10月末に10年国債利回りの低下とともに投資家のセンチメントは改善。SOX指数は底打ちし、エヌビディア株も持ち直した。

前回と同じような値動きになるかどうかは不明だが、念のために今回の下落率を確認してみると、エヌビディア株は4月19日の下落で年初来の高値から19%下げたことになる。4月19日の終値は2月に好決算を発表する前の水準にも当たる。言い換えれば、2月の決算発表前の水準まで株価が押し戻された。これらの要素が影響したのか、エヌビディア株は4月22日に反発した。テクニカル指標のRSIが短期的売られすぎの30%まで低下したことも踏まえると、テクニカル要因も反発につながったとみられる。
バリュエーションも影響?
エヌビディアの利益確定売りについて、バリュエーション面の割高感を指摘する声もある。しかし、エヌビディアの予想PER(株価収益率)は足元で31倍となっており、過去平均に比べると、決して割高とは言えない
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
ただし、ナスダック100指数の予想PERは25倍となっており、指数に比べると、エヌビディアのバリュエーションは少し高いかもしれない。他方、業績予想を加味すると、割高とは言い難い。たとえば、ナスダック100指数の主要構成銘柄であるマグニフィセント・セブンと比較した際、エヌビディアの成長率は圧倒的に高い。具体的には、2024年1-3月期の純利益(調整後)伸び率でエヌビディアが405%、アマゾンドットコムが149%、メタが99%と続く。
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
他方、業績予想はあくまでも予想であり、企業の実績が必ずしもアナリストたちの予想と一致するとは限らない。予想対比の捉え方に関しては、投資家のセンチメントに大きく左右される。一般的に、投資家のリスク許容度が高い時は、予想に対して楽観的に考えがちで、逆にリスク許容度が低下すると、予想通りの結果となるだろうかと不安になりやすい。SMCIが業績暫定値の発表を見送ったことで、SMCIとエヌビディアの株価が大きく下落したのは、その後者を反映したものと考えられる。
総合的にみると、エヌビディア株の下落は、株価バリュエーションや業績見通しに問題が浮上したわけではなく株価急騰で利益確定売り圧力があった中、米長期金利の急上昇により投資家のリスク許容度が低下(業績不安に対する警戒が高くなる)したためと考えられる。
したがって、投資家のリスクセンチメントの改善につながる動きが出てくる(たとえば、米長期金利が低下する)、あるいはエヌビディアが投資家の不安を払拭できる業績(予想を上回る決算)を発表した際は、短期的な反発にとどまらず、より持続的な株価の持ち直しにつながる可能性が高いとみられる。
今後の注目点
★エヌビディアの決算発表
エヌビディアの株高を支えてきたのは、エヌビディアが過去の数四半期において市場予想を上回る業績を出し続けてきたためだ。したがって、何よりも重要なのはエヌビディア自身の決算発表となろう。
5月22日に発表される予定のエヌビディアの2~4月期の決算について、市場予想(4月22日時点)では売上高が前年同期の3倍、前四半期より9%増加し、純利益は前年同期の5倍、前四半期より7%増加すると見込まれている。
今後については、今年3月に発表した「世界で最も強力な半導体」(エヌビディアの発表文より)の「Blackwell」搭載のAI半導体が年後半からの出荷となるため、2025年の業績への貢献が期待できると見込まれる。5月下旬の決算発表会では、「Blackwell」の生産や需要の状況、および「Blackwell」の投入による「H100」(現在最も売れているAI半導体)への影響などが注目されると思われる。
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
★テック大手の決算発表
エヌビディアの決算発表は5月下旬のため、それまで1カ月間がある。それまでに、エヌビディア以外のマグニフィセント・セブンが決算発表を行う予定だ。今年の株高はエヌビディアを筆頭としてマグニフィセント・セブンがけん引してきたこともあり、当面は主力企業の決算が注目されよう

エヌビディア以外のテック大手が市場予想を下回る決算を発表した際は、エヌビディア株にも下押し圧力がかかる可能性がある。逆に、主力企業の決算内容が上振れすれば、テック株は株高のトレンドを取り戻せるだろう。ただ、米長期金利の上昇で投資家のリスクセンチメントが高まっていることを考えると、今回の決算では実績もさることながら、会社側が示す今後の見通しにより注目が集まる可能性がある。
なお、テック大手の決算について、エヌビディアにとって一つ重要な項目がある。それは、各社の設備投資計画だ。なぜならば、 $マイクロソフト(MSFT.US)$ $メタ・プラットフォームズ(META.US)$ $アマゾン・ドット・コム(AMZN.US)$ $アルファベット クラスA(GOOGL.US)$ などがAIデータセンター向けに投資を拡大しているおかげで、エヌビディアの売上は急拡大してきた。エヌビディアは他の産業や政府機関向けにAI半導体を売り込んでいるが、その規模は上記のテック大手の設備投資額に比べるとまだ高くない。エヌビディアの業績にとって、短期的には依然としてテック大手のAI向け投資が重要と考えられる。
Bloombergによると、テック大手の設備投資額は2024年に増加する見込みだ。たとえば、マイクロソフトやアルファベット、メタの2024年の設備投資額は前年同期比25~30%増加すると見込まれている。主にAIデータセンターへの投資が増加をけん引すると予想されている。今回のテック大手の決算でそれが確認できれば、エヌビディアにとってプラス材料となろう。
<エヌビディアが10%下落> 真の要因は?今後の注目点は?
2024年4月23日作成 マーケット・アナリスト Amelia
出所:会社資料、Bloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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コメント
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  • chintara0127 : 安心感が増す記事ですね。

  • 182639895 : この文書を書かれた方に、感謝致します。
    物の功罪 良い点 気を付ける点 陰日向なく柔軟性や冷静さ偏りのない分析力 素晴らしい優秀で理知的な片でございます!

    少し理系だったので、バランスの良い秀逸な文面だと思います!

    ありがとうございます。m(__)m 素晴らしい 感謝

  • 182639895 : スイマセン 素晴らしい方が、片になっておりました。お許しを。

  • 182639895 chintara0127: ありがとうございます。m(__)m
    生成Ai 序章でしかないと考察致しております。他社も猛追して来ると思いますが、10年砂を噛むおもいで向上してきた所は、一日の長がありここら初めた会社の、10年分砂を噛む思いをしてきてると考察しております!!