【記事】人気銘柄の決算書読み方
アップルの決算はこう読む!中長期で押さえたい5つのポイント
アップルは、5月1日の米国市場取引終了後(日本時間2日朝)に2025年度Q2決算を発表します。
トランプ大統領の就任以来、「関税政策をめぐる一連の動き」に最も翻弄されてきた企業の一つがアップルです。
アップルの株価は年初来で最大30%以上下落したなか、今回の決算発表は世界中の投資家が注目する重要なイベントとなっており、内容次第では株価が短期的に大きく変動する可能性があります。
ただし、中長期的な視点でアップルへの投資価値を見極めるには、目先の数字よりも本質的なポイントに注目したほうが良いでしょう。今回は、長期投資の観点から同社を評価するうえで押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
1.Apple Intelligence(AI戦略)導入後に見られた売上構成の変化
Apple Intelligence(アップル・インテリジェンス)とは、Appleが2024年に発表した生成AI戦略の総称で、iPhone・iPad・Macに組み込まれる次世代のパーソナルAI機能です。(以下アップルAIと称する)
アップルAIは、より高機能なSiri、テキスト要約、文章作成支援、画像生成などの機能を提供し、その導入が上位機種への買い替え需要を過去最大規模に押し上げる可能性があると見られています。
1月30日に発表した2025年度Q1決算では、Mac、サービス、iPadの売上が好調で、全体としての業績に寄与しました。一方でiPhoneの売上は前年比1%減少しました。これは、中国本土市場での売上が11%減と大きく落ち込んだことが主な要因です。
今後、アップルAIはさらに多言語への対応が予定されており、それに伴う上位機種への買い替え需要の拡大が期待されています。こうした需要がiPhoneやMacなどの製品販売にどのような影響を与えるかに加え、利益率の高いサービス部門がこれまでのように成長ドライバーとしての役割を維持できるかどうかも、注目すべきポイントとなっています。アップルAIの展開が、売上構成や収益構造にどのような変化をもたらすかが、今後の焦点です。
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2.粗利率は高水準を維持できているか
粗利率とは、一言で言えば「製品を売った時に、どれだけ利益が残るか」を示す指標です。一般に、粗利率が高い企業は、それだけ高い付加価値や価格決定力を持ち、競争力があると評価されます。
アップルは独自開発のチップ(半導体)や、iOSというエコシステムを持つことで、業界内でも圧倒的に高い粗利率を誇ります。直近の粗利率は約46%と、非常に高水準を維持しています。
今回の決算でも「粗利率が40%台をキープできるか」が注目ポイントです。もし粗利率が低下した場合、競争力が落ちている可能性もあるため注意が必要です。
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3.自社株買いと配当金(株主還元への姿勢)
投資家にとって重要なのは、企業がどれだけ積極的に株主へ利益を還元しているかという点です。特に、貿易摩擦の影響で株価が大きく下落した現在、アップルがどのような株主還元策を打ち出し、株価の下支えを図るのかが注目されています。
過去5年間でアップルが実施した自社株買いの総額は約4,200億ドルにのぼり、これは米国市場でも最大規模となっています。配当金も毎年着実に増加しており、株主にとって極めて魅力的な水準となっています。
今回の決算では、自社株買いや配当の増額幅に注目が集まります。仮に、市場予想を上回る規模の株主還元が発表された場合、株価にとってポジティブな材料となる可能性があるでしょう。
なお、決算報告書で自社株買いや配当について確認するには、キャッシュ・フローを見るのが最も簡単な方法です。キャッシュ・フローの計算上では、マイナスの金額が大きいほど、株主還元額が多いことを示しています。
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4.中国市場の売上動向と新興市場戦略
中国はアップルにとって売上全体の約20%を占める重要市場であり、同社の成長戦略において欠かせない地域です。しかし、近年ではHuaweiやXiaomiなどの地元メーカーの台頭により、アップルの市場シェアが圧迫されています。
2025年度Q1決算では、中国メーカーの台頭に加え、新機種の流通や在庫の不足により、中国でのiPhoneの売上が前年同期比で11%減少しました。一部では、貿易摩擦の緩和によって物流の正常化が進めば、今後の中国市場での販売回復につながる可能性も指摘されています。
一方で、インドや中東などの新興市場は経済成長と中間層の拡大により、今後の成長をけん引する可能性が高い地域とされています。
今回の決算発表では、①中国市場におけるシェアの維持・回復策②新興市場での成長戦略という2点を特に注視できます。
中国市場におけるシェアの維持・回復策
中国政府は現在、6,000元以下のスマートフォン購入に対する補助金政策を実施しており、これがXiaomiやOPPOなど、低価格帯製品の販売を強力に後押ししています。一方、アップルのiPhone 16 Proは7,999元からと高価格帯に位置づけられており、この補助金の恩恵を受けにくい状況にあります。
さらにアップルAI機能も、中国では規制の関係から提供されておらず、競合他社と比べて不利な立場に置かれています。
この2つの不利な状況に対して、アップルが明確な対応策を打ち出せるかは、今後の中国市場でシェアを維持できるかを左右する重要なポイントと考えられています。
新興市場での成長戦略
足元では、アップルはインド市場を次の成長エンジンと位置づけ、製造拠点の拡大や直営店の開設を進めています。2024年にはインドでのiPhone生産台数が4,000万台を超え、そのうち3,000万台が輸出向けとなりました。
さらに、FoxconnやTata Electronicsとの協力により、インドでの製造能力を強化しています。2026年末までに米国向けのiPhone製造の大部分をインドに移管する計画です。
インドでの生産体制の拡充は、現地市場におけるブランド認知のさらなる向上を促し、それが販売拡大に寄与すると見られています。
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今回の決算で関連データが示されれば、それを総合的に分析することで、Appleの中国市場での課題や新興市場での成長余地を把握し、中長期的な投資判断に役立てることができるでしょう。
5.関税をめぐる会社のガイダンス
トランプ政権の関税がもたらす影響
アップルのサプライチェーンは、米国のみならず、中国、台湾、韓国、日本、インドなど、多岐にわたる国・地域で構成されています。そのため、関税の上昇は製品コストや調達体制に影響し、結果として利益率にも悪影響をもたらしうることが市場の懸念材料となっています。
いわゆる「相互関税」が4月2日に発表されて以降、一定の悪影響はすでに株価に織り込まれたと考えられます。
実際、米税関・国境警備局(CBP)は11日夜、スマホ、PC、タブレット端末、Apple Watch、半導体製造装置などを関税の適用除外とする方針を発表しました。この措置が一時的に好感されたものの、あくまで暫定対応にとどまっており、先行きの不透明感が払拭されたわけではありません。
その後の関税政策の方向性は依然として不透明な状況です。今回の決算発表では、企業側がこうした不確実性に対してどのような見通しや対応方針を示すのか、ガイダンスの内容が特に重要なポイントとなります。
まとめ
今回の決算は、短期的な売上と利益率のみならず、AI戦略や株主還元方針、中国および新興市場での展開、そして関税リスクへの対応(ガイダンス)といった、中長期的な視点でアップルの競争力を見極める重要なイベントとなります。今回ご紹介した5つのポイントが、アップルへの投資判断に少しでもお役立ていただければ幸いです。

