知る人ぞ知る半導体関連株も！技術力で世界トップシェア握る出遅れ中小型成長株は？

昨年来、大型主力株が株高を主導してきたが、ここにきて中小型成長株に物色の手が伸び始めている。日本銀行の政策修正観測から金利高の環境に弱いこうした銘柄の上値を抑えてきたため、割安感も強まっている。約70兆円規模を運用する英アバディーンの日本支社運用部長は日本経済新聞の取材に対し「大型株に比べて出遅れている中小型株のパフォーマンスに期待している」（4月22日付日本経済新聞）と話している。

日経ヴェリタス4月21日号は、時価総額5000億円未満の企業のうち、新型コロナウイルス前5期平均の営業利益と直近会社計画を比べ3倍以上となっている技術系中小型８銘柄を紹介した。ｍoomooではさらにその中から、現在株価からアナリスト目標株価までの乖離から上昇期待が大きく、今期の営業利益成長率予想が二桁となっている銘柄を抽出。浮上してきたのはいずれも世界で高いシェア握る「グローバルニッチトップ」銘柄で、ニッチな半導体関連企業も含まれていた。高い成長が見込まれ、株価にも上昇余地が期待できそうな銘柄は以下の通り。

半導体製造装置の調整やテストに使う再生ウエハーのグローバルシェア33％を握り、世界首位。半導体は不良品が発生しやすいため、生産ライン検証のために大量のテスト用再生ウエハーが必要となる。顧客のコスト意識が高まるほど需要が増えるため、景気変動や半導体市況の影響を受けにくいとされる。同社は半導体メーカーから使用済みウエハーを預かり、テスト用として再生。再生ウエハーの需要は活況でフル稼働となっている。主な販売先は、キオクシア、 $ソニーグループ(6758.JP)$、 $タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM.US)$。時価総額は800億円程度だが、上海市場に上場している子会社GRITEKの株式持ち分価値は1400億円以上もある（決算説明会で同社）という。風力発電や太陽光発電向けの蓄電池（バナジウムレドックスフロー電池）事業にも参入。24年12月期連結予想売上高は前期比5.8％増の549億円、予想営業利益は17.7％増の140億円、予想純利益は1.3％減の76億円。2日終値からアナリスト目標株価までの上昇余地は72.4％と大きい。今期営業利益成長率予想は17％（ブルームバーグデータ、以下同）。

車載用モーターコアで世界首位
◆ $三井ハイテック(6966.JP)$
北九州市本社。車載用モーターコアで世界首位。超精密金型に強み。ICリードフレームも。主な販売先はトヨタ自動車。モーターコアは、モーターを構成するローター（回転子）やステータ（固定子）の鉄心部分にあたる部品。パソコン、家電、ロボットにも使われる。25年1月期連結予想売上高は前期比21％増の2370億円、予想純利益は9.9％減の140億円を見込む。リードフレームが車載向けに伸び、スマホ・家電向けも緩やかに回復する見通しで営業利益予想は15.9％増の210億円。2日終値からアナリスト目標株価までの上昇余地は41.5％。今期営業利益成長率予想は12％。

電子顕微鏡で世界首位級、半導体製造装置も
◆ $日本電子(6951.JP)$
電子顕微鏡分野で世界首位級。半導体製造過程で、半導体の回路原版となるフォトマスクに電子ビームを用いて原版を描く電子ビームマスク描画装置を拡大中。中国でのパワー半導体向け装置の引き合いが強い。最先端半導体向け装置には該当せず、対中国輸出規制による受注影響はない。分析機器、医用機器も手掛ける。ニコンと連携。海外売上比率は約７割で、円安の恩恵受ける。AI活用の未知物質分析装置に引き合い。24年3月期予想売上高は前期比5.7％増の1720億円、予想純利益は１％増の180億円。2日終値からアナリスト目標株価までの上昇余地は18.8％。今期営業利益成長率予想は17％。

半導体製造装置向け継ぎ手で世界首位
◆ $日本ピラー工業(6490.JP)$
流体の漏れを防ぐパッキンなどニッチ分野を中心に事業展開。半導体製造装置向け継ぎ手で世界首位。25年3月期は半導体製造装置の需要増に伴って継ぎ手などが伸びる見込み。24年3月期連結売上高予想は前期比17％増の570億円、予想純利益は4.1％減の100億円。2日終値からアナリスト目標株価までの上昇余地は12.6％。今期営業利益成長率予想は16％。