テスラ、目標株価引き下げラッシュ　トヨタ急騰で自動車業界また主役交代か？

大きく盛り上がった電気自動車に対する期待が、ここへ来て世界的に鈍化している。世界の大手自動車メーカーが続々と電気自動車の投資計画を延期し、米 $テスラ(TSLA.US)$をはじめ主要EVメーカーの株価の推移からも確認できる。年初来、 $トヨタ自動車(TM.US)$の株価は40％近く上昇したが、テスラの株価は年初来で30％以上下落し、安値圏で推移している。

円安と生産・販売増がトヨタの逆襲を後押し
トヨタの急騰は、円安や生産と販売の伸び、日本株のバリュエーションの割安感など、いくつかの要因に後押しされている。

まず、円安はトヨタのような輸出志向の日本企業に恩恵をもたらしている。トヨタの生産コストの大半は円建てで、海外販売は現地通貨建てであるため、円安になるとトヨタの円建て収益が増加し、利益率が高まる。 円安は海外市場でトヨタ製品の価格優位性をもたらし、販売台数の増加に寄与した。

第二に、製造業の回復と消費者の嗜好により、トヨタは引き続き世界自動車販売台数のタイトルを獲得した。昨年のトヨタの世界販売台数は7.2％増の1120万台と過去最高を記録した。供給制約が緩和され、生産が正常化に戻り、同社の生産の伸びはすでに2019年のピークに戻った。

トヨタの最新決算によると、トヨタの販売は主に日本、北米、ヨーロッパで行われている。電気自動車の販売が伸び悩む中、トヨタのこれらの地域での販売台数は16％以上の伸びを示した。ゴールドマン・サックスによると、市場はトヨタの強みであるハイブリッド製品の可能性を見直しつつあるという。

テスラへの評価に変化、自動車業界また主役交代か
テスラとトヨタの株価は昨年ともに好調だったが、2024年を迎えて両社の株価はまったく異なる方向に動いている。

それは両社の業績から見られる。 トヨタは2023年上半期にテスラの利益率を上回っており、再び世界一の収益性を誇る自動車会社になる可能性が高い。これに対して、テスラは頻繁な値下げと4四半期連続の売上総利益率低下により、アナリストらは否定的な声を上げている。

月曜日、みずほ証券はテスラの株価を「買い」から「中立」に格下げし、目標株価を270ドルから195ドルに引き下げたと発表した。

今月に入り、テスラの目標株価を引き下げた金融機関は、モルガン・スタンレー、ドイツ銀行、ウェルズ・ファーゴ、UBS、ゴールドマン・サックスと相次いでいる。最も低いのはウェルズ・ファーゴの128ドルで、これはテスラの現在の株価より25％低い。

モルガン・スタンレーのストラテジスト、アダム・ジョナス氏は、米国市場はEV技術のアーリーアダプターから主流購買層へと移行しつつあり、その多くはガソリン車より高い価格を受け入れたがらないと述べた。

「世界の自動車消費者の嗜好の変化がトヨタの株価を押し上げている一方で、テスラの株価は低迷している」とし、テスラの株価が現在の水準からさらに30％下落し、120ドルになった場合、 「世界で最も価値のある自動車会社」の王冠は、トヨタに返されると付け加えた。